アグスタ-ベル 212ASW

アグスタ-ベル 212ASW 概要

アグスタ-ベル 212ASW、略称AB 212ASWは、アグスタ社によって開発された双発の哨戒ヘリコプターです。この機体は、より初期の単発ヘリコプターAB 204Bを基にして製造された対潜戦用モデルである204ASの後継機として位置付けられています。日本を含む多くの国々で運用されるAB 204Bの設計は、主にイタリア海軍やスペイン海軍といった軍隊によって採用されてきました。

設計の特徴

AB 212ASWの基本的な設計は212のものを踏襲しつつ、艦載運用を前提に一部の構造が強化されています。これにより、艦船への発着艦がしやすくなっています。また、将来的に必要になる着艦拘束装置の装備も視野に入れた設計変更が行われています。

機体の空虚重量は、もともとのAB 212が2,630 kgであるのに対し、AB 212ASWモデルでは3,420 kgに増加しています。これは、捜索任務や対潜戦闘に必要なミッションシステムが整備されているためです。具体的には、シースプレーという捜索レーダーが採用されており、アンテナはコクピット上のレドームに収納されています。また、吊下式ソナーに関してはAN/AQS-13Bまたは18が搭載され、有效な対潜能力を発揮しています。

対潜兵器と対艦兵器

AB 212ASWは、対潜戦用の兵器も装備できるようになっており、国産のA244やアメリカ製のMk.44・46短魚雷を2発、また対潜爆弾を2発搭載可能です。さらに、対艦戦においては、AS.12対舟艇ミサイルを搭載でき、そのためのXM-58照準器も機体に組み込まれています。また、オトマートMk.2の中間誘導を支援するシステムも装備されています。

AB 212ASWは、10パーセントの予備燃料を計算に入れた場合、短魚雷2発を搭載しての対潜任務では約3時間12分の哨戒能力を持ち、AS.12対舟艇ミサイルを搭載した対水上戦では最大332海里（約615 km）の航続距離を持つ性能を発揮します。このように、このヘリコプターは多岐にわたる戦術に対応できるよう設計されています。

運用実績と近代化

特に、スペイン海軍が運用するAB 212ASW型機は、アビオニクスの更新を受けており、2018年にはソフトウェアのアップデートも行われました。このように、機体の運用性を向上させるための近代化が計画されており、現代の海洋戦においても十分な存在感を示し続けています。

参考文献

• - Lambert, Mark (1991). Jane's All the World's Aircraft 1991-92. Jane's Information Group. ISBN 978-0710609656.
• - Taylor, John W. (1974). Jane's All the World's Aircraft 1974-75. Key Book Service. ISBN 978-0354005029.
• - 江畑謙介 (1988). 艦載ヘリのすべて―変貌する現代の海洋戦. 原書房. ISBN 978-4562019748.

このように、アグスタ-ベル 212ASWは、“海の守り手”としての大きな役割を果たし続けています。

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