アグノー包囲戦

アグノー包囲戦 (1705年): スペイン継承戦争における帝国軍の勝利

アグノー包囲戦は、スペイン継承戦争中の1705年9月27日から10月5日にかけて、現在のフランス・アルザス地方に位置する要塞都市アグノーで繰り広げられました。帝国元帥ヨハン・カール・フォン・テュンゲン率いる帝国軍が、フランス王国の重要な拠点を攻略した戦いとして知られています。

包囲戦の背景

当時、同盟軍はマールバラ公爵の指揮下、スペイン領ネーデルラントで対フランス作戦を展開していました。一方、フランス元帥クロード・ルイ・エクトル・ド・ヴィラールは、7月初旬にアルザス地方のヴィサンブールを占領し、帝国軍をローターブールから駆逐しようと試みました。しかし、帝国軍はバーデン＝バーデン辺境伯ルートヴィヒ・ヴィルヘルムの病気を理由に、ヨハン・カール・フォン・テュンゲンが指揮を代行し、フランス軍の攻撃を食い止めました。

戦闘の経過

7月27日、フランス軍の分遣隊がホンブルクを攻略し、プファルツ選帝侯領の駐留軍はマンハイムへと撤退を余儀なくされました。しかし、8月28日には、復帰したバーデン＝バーデン辺境伯がプロイセンとプファルツからの援軍1万6千を受け、フランス軍が構築した強固な要塞線、アグノー線を突破し、下アルザス地方への進軍を開始しました。帝国軍はまずドリュゼナイムを包囲した後、9月27日にアグノーの包囲を開始し、10月5日についに陥落させました。

アグノーに駐留していたフランス軍は兵力が脆弱であり、抵抗は限定的でした。降伏条件を交渉しようとしましたが、テュンゲンは駐留軍を捕虜とするよう要求し、フランス側の提案を拒否しました。駐留軍の総督ペリは、兵士400名と傷病兵を残し、残りの約2,000名の兵士とともに夜の闇に紛れて脱出を試みました。同盟軍の包囲網に不備があったため、フランス軍はこれを突破することに成功しました。この逃走劇に対し、バーデン＝バーデン辺境伯は激怒したと伝えられています。

10月末には両軍ともに冬営に入り、アグノー包囲戦は1705年の戦役における最後の戦闘となりました。

包囲戦の影響

アグノー包囲戦の成功により、帝国軍はライン川西岸に橋頭堡を築くことに成功しました。この拠点は、今後の作戦展開において重要な役割を果たすことになります。

まとめ

アグノー包囲戦は、スペイン継承戦争における比較的小規模な戦闘でしたが、帝国軍にとっては戦略的に重要な勝利となりました。この戦いを経て、帝国軍はアルザス地方における影響力を高め、今後の戦局を有利に進めるための足がかりを築きました。

参考文献

“Bijdrage tot de krijgskundige studie van den Spaanschen Successie-Oorlog in de Nederlanden” (オランダ語). De nieuwe Spectator: Krijgs- en geschiedkundig tijdschrift van het Nederlandsche leger ook in de Indiën 20: 253–286. (1866).
Ostwald, Jamel (2006) (英語). Vauban Under Siege: Engineering Efficiency and Martial Vigor in the War of the Spanish Succession. Brill. ISBN 978-9004154896

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