オレゴン州アストリア:歴史と文化が息づく港町
アストリアは、
アメリカ合衆国オレゴン州の北西部に位置するクラトソップ郡の郡庁所在地です。
コロンビア川の河口に位置し、豊かな自然と歴史的な背景を持つ魅力的な都市です。人口は約1万人。
歴史
アストリアの歴史は、19世紀初頭に
ジョン・ジェイコブ・アスターが設立した毛皮貿易の拠点、アストリア砦に始まります。この砦は、
アメリカ合衆国にとって最初の太平洋沿岸入植地となり、その後のアメリカ西部の発展に大きな影響を与えました。
ルイス・クラーク探検隊が1805年から1806年にかけて、現在の市南西にあるクラトソップ砦で越冬したことでも知られています。
1811年には、
イギリス人探検家デイヴィッド・トンプソンが
コロンビア川を初めて航行し、アストリア砦に到着。しかし、太平洋毛皮会社は
倒産し、アストリア砦は
イギリスに売却されました。1840年代にはアメリカ人開拓者が移住し、1846年の
オレゴン条約で
アメリカ合衆国が領有権を確立しました。
ワシントン・アーヴィングは、アスターの依頼で太平洋毛皮会社の物語『アストリア』を執筆し、この地の重要性を強調しました。
1847年には
ロッキー山脈以西で最初の郵便局が設立。1876年に市制が施行されました。
19世紀後半には、北欧系や中国系の移民が流入し、多様な文化が育まれました。しかし、1883年と1922年の大火で市街地は大きな被害を受けました。
地理と気候
アストリアは、
コロンビア川の南岸に位置し、美しい自然に囲まれています。
西岸海洋性気候に属し、冬は温暖で夏は涼しいのが特徴です。年間を通して
降水量が多く、特に晩秋から冬にかけて雨が多いです。
市の総面積は27.5平方キロメートルで、そのうち陸地が15.9平方キロメートル、
水域が11.6平方キロメートルです。
経済
かつては
漁業、水産加工業、材木業が主要な産業でしたが、近年は観光業が盛んになっています。アストリア港湾局が管理する深水港があり、クルーズ船の寄港地としても人気を集めています。
交通
アストリア地域空港のほか、国道30号線と国道101号線が市内を通過しています。また、アストリア・メグラー橋が
ワシントン州とのアクセスを担っています。
文化と観光
アストリアには、クラトソップ砦のレプリカや、市街を一望できるアストリア・コラムなど、多くの観光名所があります。アストリア・コラムは、地域の初期の歴史を記念して1926年にアスター家によって建設されました。
毎年開催されるフィッシャー・ポエッツ・ギャザリングは、漁師たちが詩や歌を披露し、
漁業の文化を讃えるイベントです。
アストリアは、映画のロケ地としても有名で、「
グーニーズ」をはじめとする数多くの作品が撮影されました。
人口構成
2000年の
国勢調査によると、アストリアの人口は9,813人です。人種構成は、白人が91.08%を占めています。
ドイツ系、アイルランド系、イングランド系などの祖先を持つ人々が多く住んでいます。
教育
アストリア公立学校区には、小学校2校、中学校、高等学校があります。
メディア
日刊紙「ザ・デイリー・アストリアン」や、ラジオ局KMUN、KAST AM/FMがあります。
アストリアは、歴史、文化、自然が調和した魅力的な都市です。ぜひ一度訪れて、その魅力を体験してみてください。