アスペクト (出版社)

株式会社アスペクトの概要

株式会社アスペクトは、かつて存在した日本の出版社であり、東京都台東区に本社を構えていました。主に『ファミ通』系の書籍や雑誌を発行しており、その歴史は1985年に設立された(旧)アスキー社の子会社である株式会社ビジネス・アスキーから始まりました。設立当初は、アスキーの販売窓口として機能しており、実際の編集作業はアスキーが行っていました。

沿革の詳細

1985年12月に設立されたビジネス・アスキーは、後にゲーム攻略本や、アスキーの雑誌『ファミ通』関連の書籍を発行するようになります。1991年には商号を株式会社アスペクトに変更しました。

1993年には、アスキーのファンタジー系文芸雑誌『LOGOUT』に関連する文庫レーベルであるログアウト冒険文庫を創刊しましたが、これは短命に終わりました。

その後も1995年には、アスキーのパソコンゲーム雑誌『ログイン』から分岐したアダルトゲーム雑誌『E-LOGIN』が創刊され、1996年には『TECH Win』から派生した『TECH GIAN』が登場しました。これら2つの雑誌は2003年まで同じ会社内で競合し続けました。

1998年にはコンピュータゲームのノベライズ作品を扱うファミ通ゲーム文庫を、同年創刊された短命のログアウト文庫と統合し新たに創刊しました。1999年には株式会社スパイクの出版事業を承継し、さらには2000年にグループ再編が行われ、エンターブレインに雑誌やゲーム攻略本の事業を譲渡し、一般書籍も扱う総合出版社へと転換しました。

2002年には旧アスキーグループの買収が行われ、アスペクトはセガの傘下となりましたが、2004年には独立を果たします。この年の7月にはBS-iにてテレビ番組「BQ」の制作を開始しました。また、2005年にはWebサイト「アスペクトONLINE」を改修しオンラインコンテンツの充実を図りました。

電子書店とデジタルメディア事業の展開

2007年には電子書店アスペクトをオープンし、約700社のデジタルコンテンツを取り扱うサイトを設立しました。続いて2008年にはデジタルメディア部門を分社化しアスペクトデジタルメディア株式会社を設立、オリジナル電子書籍やコンテンツの販売も行うようになりました。この動きの中で、B2Bサービスとして電子書店アスペクトコンテンツデリバリーシステムの提供も始まりました。

2015年には、アスペクト・エス・ピー・シーの出版事業を継承するなど、事業の拡充を図りましたが、2023年3月にはアスペクト・エス・ピー・シーとアスペクトが共に破産手続きに入ることとなりました。

主な発行物について

アスペクトは雑誌や書籍の他にも多様なWebマガジンを手掛けていました。発行していた雑誌には、猫をテーマにした「猫ぐらし」や、浦和レッズに関連した「浦和レッズマガジン」がありました。また、アスペクト文庫や新書、ノベルズといった多くのレーベルを展開し、各ジャンルの書籍を広く提供していました。

アスペクトの歴史と事業は、日本における出版業界の変遷を象徴するものでもあり、多様な媒体を通じて多くの読者に影響を与え続けました。その多くの事業は、時代や市場の動向に合わせて変化し続けましたが、最終的には2023年に破産手続きを行うこととなり、その幕を閉じました。

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