アセスルファムカリウム

アセスルファムカリウム：人工甘味料の特性と用途

アセスルファムカリウム（Ace K）は、スクロースの約200倍もの甘味を持つ人工甘味料です。独特のすっきりとした甘みを持ち、清涼飲料水や菓子、加工食品など幅広い製品に使用されています。本記事では、その特性、製造方法、安全性、そして歴史的な背景を詳細に解説します。

製造方法

アセスルファムカリウムは、ジケテンとスルファミン酸を反応させ、その後三酸化硫黄を反応させることでアセスルファム環を生成します。最後に水酸化カリウムで中和することで、白色結晶粉末状のアセスルファムカリウムが得られます。

物理化学的性質

アセスルファムカリウムは、6-メチル-1,2,3-オキサチアジン-4(3H)-オン-2,2-ジオキシドのカリウム塩で、分子式はC4H4KNO4S、分子量は201.24です。熱や酸、酵素に対して比較的安定であるため、加熱処理が必要な食品や、長期保存が必要な製品にも適しています。また、水やエタノール、グリセリン、プロピレングリコールにも溶解性が高く、様々な食品への添加が容易です。独特の臭いは発生せず、メイラード反応による着色もありません。

生理学的性質

アセスルファムカリウムは、スクロースに比べて甘みが強く、後味が残りにくいすっきりとした甘みを持ちます。しかし、高濃度ではわずかに苦味を感じる場合があります。そのため、他の甘味料と併用することで、より自然でバランスの良い甘みを実現できます。特にアスパルテームとの併用は相乗効果があり、甘味度が40％も向上すると報告されています。また、ショ糖や果糖、糖アルコールなどとの併用でも、甘味度の強化が期待できます。

さらに、フェルラ酸ナトリウムとの併用により、アセスルファムカリウム特有の苦味をマスキングできることが報告されています。これは、クラフトフーズ社が特許を取得した技術です。

アセスルファムカリウムは、酸との併用で酸味や苦味を和らげ、食塩と併用することで甘味を際立たせ、苦味を軽減する効果も持ちます。ショ糖、エリスリトール、キシリトールなどの糖質甘味料との併用では、コクや深みが増すという報告もあります。

また、微量添加することでチョコレート、コーヒー、ココア、紅茶などの風味を引き立てる風味強調剤としての役割も期待できます。重要な点として、アセスルファムカリウムは非う蝕性であり、口腔内細菌によって代謝されないため、虫歯の原因となることはありません。

安全性

FAO/WHO合同食品添加物専門家会議|FAO_WHO合同食品添加物専門家会議（JECFA）の評価では、アセスルファムカリウムに発がん性や変異原性は認められていません。動物実験でも安全性が確認されており、1日の摂取許容量は体重1kgあたり0～15mgとされています。

歴史

アセスルファムカリウムは、1967年にドイツの化学者カール・クラウスによって偶然発見されました。その後、様々な研究を経て、食品添加物として世界中で広く使用されるようになりました。

各国における法的地位

日本では、2000年に食品添加物として認可され、使用基準や成分規格が定められています。現在では、清涼飲料水や酒類を中心に、多くの食品に使用されています。2008年には医薬品添加物としても指定されています。

まとめ

アセスルファムカリウムは、その高い甘味度、安定性、安全性から、様々な食品に使用されている重要な人工甘味料です。他の甘味料との併用による相乗効果や風味増強効果も注目されており、今後も食品業界において重要な役割を果たしていくものと期待されます。しかしながら、高濃度での使用によるわずかな苦味など、注意すべき点も存在します。適切な使用を心掛けることが重要です。

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