アダド・ニラリ3世

アダド・ニラリ3世

アダド・ニラリ3世（在位：前811年-前783年）は、新アッシリア帝国の王です。治世の前半は、母サンムラマート（セミラミスのモデル）の影響が大きく、王権の弱体化が進む中で、各地への遠征やニネヴェでのナブー神殿建設を行いました。アダド・ナラリとも呼ばれます。

家族構成

アダド・ニラリ3世はシャムシ・アダド5世の息子であり、後継者でした。即位後最初の5年間は、母サンムラマートが強い影響力を持っていたため、即位時は若年であったと考えられます。サンムラマートの影響力は、セミラミスの伝説を生み出すほどでした。

サンムラマートが摂政として行動したという見解は広く否定されていますが、彼女の影響力は非常に大きなものでした。アダド・ニラリ3世は、アッシュル・ニラリ5世、シャルマネセル4世、アッシュル・ダン3世の父親でもあります。ティグラト・ピレセル3世は、王碑文で自身をアダド・ニラリ3世の息子と記述していますが、真偽は不明です。

来歴

アダド・ニラリ3世の若年と、父王の時代から続く権力闘争は、アッシリアのメソポタミア支配を弱体化させ、多くの将軍、総督、地方統治者の野心を刺激しました。

アダド・ニラリ3世は、祖父シャルマネセル3世の時代のアッシリアの力を取り戻すため、各地への遠征を指揮しました。リンム年代記によれば、18年間の統治期間中、あらゆる方角に遠征を行い、ニネヴェにナブー神殿を建設しました。前796年には、ベン・ハダド3世治世下のダマスカスを包囲し、ダマスカスのアラム人王国の衰退と、ヨアシュおよびヤロブアム2世治下のイスラエル王国の復活をもたらしました。イスラエル王国は当時、アッシリアに貢納を行っています。

アダド・ニラリ3世の精力的な活動にもかかわらず、彼の死後、アッシリアは数十年にわたる長い弱体化の時代に入りました。

聖書との関連

ヨナ書に登場する王はアダド・ニラリ3世であるという説があります。ヨナの時代、イスラエルの王はヤロブアム2世であり、同時代のアッシリア王はアダド・ニラリ3世に該当します。

関連項目

新アッシリア帝国
サンムラマート
* シャムシ・イル

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