シャルマネセル4世

シャルマネセル4世：新アッシリア帝国の苦難の王

シャルマネセル4世（在位：紀元前783年-紀元前773年）は、新アッシリア帝国の王として知られています。彼の名前「シャルマヌ・アシャレド」は「シャルマヌ神は至高なり」という意味を持ちます。

治世とウラルトゥとの戦い

アダド・ニラリ3世の後を継いで王位に就いたシャルマネセル4世ですが、彼の治世に関する記録は非常に少ないのが現状です。これは、3代後の王であるティグラト・ピレセル3世が彼に関する記録を抹消したことが影響していると考えられています。しかし、少ない史料からも、彼の時代が問題の多い時代であったことが窺えます。

シャルマネセル4世の治世は、主にアッシリア北方に位置するウラルトゥ王国との戦いに費やされました。アダド・ニラリ3世の碑文にはウラルトゥを服属させたという記述がありますが、実際にはウラルトゥの南への拡大を食い止めたに過ぎないと指摘されています。ウラルトゥは、ミタンニのような軍事貴族の集合体であり、北アッシリアの部族を征服することで結束を強めていました。彼らはアッシリア文化の要素を取り入れ、碑文にはアッシリアの文字を使用するなど、文化的にも影響を受けていました。

アダド・ニラリ3世の治世末期から、ウラルトゥ王アルギシュティ1世はアッシリア北部への攻撃を開始しました。シャルマネセル4世の将軍シャムシ・イルは、紀元前781年から紀元前778年までの4年間、ウラルトゥと戦い、紀元前776年と紀元前774年の2回の遠征でウラルトゥの南への拡大を阻止しようと試みましたが、アッシリアは敗北し、撤退を余儀なくされました。紀元前774年の遠征では、ウラルトゥと並んでナムリも遠征先として記録されています。

国内の状況と遠征

ウラルトゥに対する敗北は、アッシリアの威信を大きく傷つけました。そのため、シャルマネセル4世は紀元前775年にレバノン方面へ、紀元前773年にはダマスカスへの遠征を余儀なくされました。これらの地域に対しては、ウラルトゥほど苦戦することはなかったようで、ダマスカス王ハディアヌから貢納を得ることに成功しています。彼の治世の最後の年には、ハタリッカ（現在のテル・アフィス遺跡）への遠征が行われました。

リンム年代記によれば、シャルマネセル4世はウラルトゥへの遠征を数回率いましたが、彼の統治権は高官、特に軍の最高司令官であったシャムシ・イルによって厳しく制限されていました。

シャルマネセル4世の治世は、ウラルトゥとの戦いと国内の権力闘争に明け暮れた、苦難の時代であったと言えるでしょう。

関連項目

新アッシリア帝国
シャムシ・イル

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