アトランティス (小惑星)

小惑星アトランティス (1198 Atlantis) について

小惑星アトランティスは、小惑星帯の内側から火星の軌道と交差する、非常に特徴的な軌道を持つ小惑星です。この小惑星は、1931年9月7日にドイツの天文学者カール・ラインムートによって発見されました。発見場所は、ドイツ南西部に位置するケーニッヒシュトゥール天文台です。アトランティスという名前は、古代ギリシャの哲学者プラトンが記述した神話上の島アトランティスに由来しています。

軌道の特徴

アトランティスは、太陽からの距離が1.5天文単位から3.0天文単位の間を、約3年5ヶ月（1233日）かけて公転します。この軌道は非常に離心率が高く、その値は0.34です。また、黄道面に対する軌道傾斜角は3度となっています。観測記録は、公式な発見日から1週間後、ハイデルベルクでの観測から開始されています。

物理的特性

アトランティスは、SMASS分類において、珍しいL型小惑星に分類されています。L型小惑星は、岩石質のS型小惑星のサブグループに属し、他の小惑星とは異なるスペクトル特性を持っています。これは、アトランティスの表面組成が、他の一般的な小惑星とは異なる可能性があることを示唆しています。

自転周期

2012年8月には、イタリアの天文学者アルビーノ・カルボニャーニが、OAVdA天文台でアトランティスの測光観測を実施しました。この観測によって、アトランティスの光度曲線が得られ、その分析から、少なくとも16時間の自転周期を持つことが明らかになりました。また、観測された光度の変化は0.20等級でした。

直径とアルベド

アトランティスは、これまでに宇宙からの観測、例えばIRAS（赤外線天文衛星）、あかり（赤外線天文衛星）、広視野赤外線探査機などによる観測は行われていません。Collaborative Asteroid Lightcurve Link (CALL)では、岩石質の小惑星の典型的なアルベド値である0.20を基に、絶対等級14.4から、アトランティスの直径を約3.92kmと推定しています。アルベドは天体の反射率を示す指標であり、この値を用いて天体のサイズを推定します。

命名の由来

アトランティスは、古代ギリシャの神話に登場する伝説の島、アトランティスにちなんで名付けられました。アトランティスは、紀元前360年頃にプラトンの著作で言及されたことで知られています。神話によると、アトランティス文明は、その貪欲さと道徳の欠如から、神々によって火と地震で罰せられ、島は海に沈んだとされています。
この小惑星の命名は、天文学者グスタフ・シュトラッケの提案によるものでした。シュトラッケは、自身が小惑星番号1227番から1234番までの小惑星の命名に大きく貢献しています。

参考文献

Asteroid Lightcurve Database (LCDB), query form (info Archived 16 December 2017 at the Wayback Machine.)
Dictionary of Minor Planet Names, Google books
Asteroids and comets rotation curves, CdR – Observatoire de Genève, Raoul Behrend
Discovery Circumstances: Numbered Minor Planets (1)-(5000) – Minor Planet Center
* アトランティス - JPL Small-Body Database
接近アプローチ · 発見 · 天体暦 · 軌道図 · 軌道要素 · 物理パラメータ

アトランティスは、その珍しい軌道と分類から、小惑星研究において重要な天体の一つです。今後の観測によって、この小惑星の特性がさらに解明されることが期待されます。

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