アドラティクリット

アドラティクリット

アドラティクリット（Adratiklit boulahfa）は、モロッコで発見されたジュラ紀中期（1億6800万～1億6400万年前）の地層から産出した、ステゴサウルス科に属する恐竜です。「山のトカゲ（ベルベル語）」を意味する学名が与えられています。

発見と特徴

アドラティクリットは、ゴンドワナ大陸において最古級のステゴサウルス科恐竜であり、北アフリカで初めて発見された装盾類でもあります。剣竜類自体はジュラ紀のローラシア大陸で繁栄していましたが、ゴンドワナ大陸での化石発見例は非常に稀です。ホロタイプは背椎のみですが、上腕骨や追加の椎骨なども発見されています。上腕骨の長さは61cmに達することから、比較的大きな個体であったと考えられます。

ただし、化石が部分的なため、背中のスパイクやプレートの形状、詳細な大きさなどは不明です。近縁種であるダケントルルスやミラガイアとの比較から、大きな背中の板を持たず、長い首を持っていた可能性も指摘されています。推定全長は約7メートルです。

分類

系統解析の結果、アドラティクリットは、南アフリカのケントロサウルスやパラントドンよりも、ヨーロッパの剣竜類であるダケントルルスやミラガイアといったステゴサウルス科の種に近縁であることが判明しました。この発見は、これまでヨーロッパのジュラ紀後期に限定されていたと考えられていたダケントルルス亜科のステゴサウルス科が、アフリカにまで分布を広げていた可能性を示唆しています。

系統樹

(系統樹の図は省略)

アドラティクリットの発見は、剣竜類の進化と分布に関する理解を深める上で重要な意味を持ちます。今後のさらなる研究によって、その生態や系統的位置づけがより明確になることが期待されます。

関連項目

恐竜の一覧
ステゴサウルス科

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