アフェクション (競走馬)

アフェクション：名牝の血統、その輝かしい軌跡

アフェクション（Affection）は、1914年にフランスで生まれ、後にアメリカ合衆国で繁殖牝馬として活躍したサラブレッドです。競走馬としては目立った成績を残せませんでしたが、繁殖牝馬として卓越した能力を発揮し、後世に大きな影響を与える牝系を築き上げました。

生涯

アフェクションは、アメリカの実業家スティーブン・サンフォードによってフランスで生産されました。サンフォードの死後、彼の財産を相続したジョン・サンフォードが所有者となり、2歳時に競走馬としてデビューしましたが、2戦未勝利で引退しました。

その後、ジョン・エドワード・マッデンに繁殖牝馬として所有され、1927年頃にマーシャル・フィールド3世に売却されました。競馬評論家エレン・パーカーの著書『Reine-de-Course』によると、アフェクションは生涯で8頭の産駒を産み、そのうち7頭が競走馬としてデビューし、6頭が勝利を収めました。

卓越した繁殖能力

アフェクションの産駒たちは、競走馬としてだけでなく、繁殖牝馬としても優れた能力を発揮しました。その結果、彼女の牝系は広がり、数々の名馬を輩出する源流となりました。

主な産駒

エモーション（Emotion）: 1919年生まれの牝馬。1922年のテストステークス優勝馬。繁殖牝馬として、1928年の最優秀2歳牡馬ハイストラング（High Strung）を輩出しました。
サンフォード（Sanford）: 1922年生まれの騸馬。ステークス競走勝ち馬です。
フラットアイアン（Flat Iron）: 1923年生まれの騸馬。4歳・5歳時にステークス競走で4勝を挙げました。
エロイーズ（Heloise）: 1925年生まれの牝馬。競走成績は14戦1勝でしたが、繁殖牝馬として14頭の産駒を全て競走馬として送り出し、うち13頭が勝利、6頭がステークス競走で勝利を収めました。代表産駒には、1935年の最優秀2歳牡馬に選出されたティンテイジェル（Tintagel）や、1938年のメイトロンステークスなどを制したディナーデート（Dinner Date）がいます。3代先の子孫には、1970年のエイコーンステークス優勝馬ロイヤルシグナル（Royal Signal）がいます。
エスカッチオン（Escutcheon）: 1927年生まれの牝馬。競走成績は27戦5勝で、1930年のアラバマステークスに優勝しました。繁殖牝馬としては16頭の産駒を産み、うち15頭が競走馬としてデビュー、14頭が勝利を収めました。代表産駒には、1937年のケンタッキーオークス優勝馬マーズシールド（Mars Shield）がいます。アフェクションの仔の中でも、牝系子孫の広がりが最も大きく、その子孫にはベルモントステークス優勝馬クレームフレーシュ（Creme Fraiche）や、日本の牝馬三冠馬アパパネなどがいます。
ブアタイ（Boutai）: エスカッチオンの産駒で、1942年生まれの牝馬。競走成績は12戦2勝で、2歳時にピムリコナーサリーでステークス勝ちを収めています。エスカッチオンの産駒の中でも繁殖牝馬としての影響が最も大きく、13頭の産駒を全て競走馬として送り出し、うち12頭が勝利を収めています。代表産駒には、アーリントンラッシーステークス勝ち馬のデルタ（Delta）、コーチングクラブアメリカンオークス優勝馬のレヴィー（Levee）、1957年の最優秀3歳牝馬に選ばれたバイユー（Bayou）などがいます。これらの産駒も繁殖牝馬として優れており、その子孫にはジョッキークラブゴールドカップ勝ち馬のスルーオゴールド、イギリスのKJ6&QES優勝馬ナサニエルなどがいます。
ハグアゲイン（Hug Again）: 1931年生まれの牝馬。競走成績は37戦10勝でした。繁殖牝馬としては9頭の産駒を全て競走馬として送り出し、6頭が勝利、3頭がステークス競走で優勝しました。代表産駒は、1941年のアーリントンフューチュリティに優勝したサンアゲイン（Sun Again）で、種牡馬として後にダマスカスまで繋がるテディ系のサイアーラインを延長させました。
プロクシマイトリー（Proximity）: 1934年生まれの牝馬。3代先に1965年のロイヤルポリアンナハンデキャップ優勝馬ダークキング（Dark King）などがいます。

アフェクションの血統は、今日に至るまで世界中の競馬界に影響を与え続けています。彼女の牝系から生まれた数々の名馬たちは、競馬ファンを魅了し、競馬史にその名を刻んでいます。

参考文献：平出貴昭『覚えておきたい世界の牝系 100』主婦の友社、2019年。ISBN 978-4-07-341149-9。

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