アフマド・シャー (ムガル皇帝)

アフマド・シャーの生涯

アフマド・シャー（ウルドゥー語: احمد شاہ, Ahmad Shah）は、1725年12月23日にデリーで誕生し、北インドにおけるムガル帝国の第13代皇帝として1748年から1754年までの短い間、君主としての地位にありました。彼の父親は前皇帝ムハンマド・シャー、母親はウドハム・バーイーです。アフマド・シャーはその即位の過程や帝国の衰退過程において、多くの重要な出来事の中心にいました。

即位以前と即位の出来事

アフマド・シャーが皇帝としての道を歩み始めるのは、1748年4月26日のことです。この日は、父である皇帝ムハンマド・シャーが亡くなった日でした。父の死に際して、アフマド・シャーはアワド太守の軍に加わり、ドゥッラーニー朝のアフガン軍を追撃していましたが、父の死はしばらく秘されていましたというのも、皇帝の遺体は王宮のテーブルクロスに包まれ、大時計の中に隠される形で保管されることになったからです。デリーに戻ったアフマド・シャーは5月4日、デリー城のシャーリーマール庭園で即位式を行いました。

権力闘争の始まり

即位後、アフマド・シャーはアワド太守のサフダル・ジャングを宰相に任命し、他の重要なポジションにも信頼できる側近を配置しました。しかし、実際にはナワーブ・ジャウド・ハーンという宦官が政権の実権を握っており、アフマド・シャーは彼を過度に信じ込んでしまいます。さらに、彼の母親ウドハム・バーイーも政治に影響を与えるほどの権力を持つようになり、アフマド・シャー自身も后宮の生活を楽しむ傾向が見られるようになりました。資本が彼の政治的な関心を奪い、結果として政務が疎かになることも少なくありませんでした。

アフガン王アフマド・シャー・ドゥッラーニーが1751年12月に北西インドへ侵攻し、しばらくして帝国はパンジャーブとカシミールを失いました。サフダル・ジャングとトルコ系貴族たちの間には、権力争いが渦巻いていました。1752年夏、サフダル・ジャングはトルコ系貴族、ナワーブ・ジャウド・ハーンを暗殺し、その後も敵対する者たちを排除しますが、ガーズィー・ウッディーン・ハーンはその息子を引き継ぎ、再びサフダル・ジャングに対抗することになります。最終的に、サフダル・ジャングは自らの権限を失い、デリーからアワドに退くこととなりました。

権力の喪失と死

アフマド・シャーの権力は急速に脅威にさらされ、ガーズィー・ウッディーン・ハーンは彼に宰相位を要求しましたが、アフマド・シャーに拒否されます。この結果、ガーズィー・ウッディーンはアフマド・シャーとその母ウドハム・バーイーを盲目にし、二人をデリーの城に幽閉しました。皇帝としての地位を失ったアフマド・シャーは、以降もずっと幽閉されたまま暮らし続け、1775年1月1日にデリーで亡くなりました。

アフマド・シャーは家族を持ち、彼には複数の妻と子供がいました。特に、彼の息子の一人であるビーダール・バフトが1788年にアフガン系ローヒラー族によってデリーで短い間傀儡の皇帝として統治を行いました。

まとめ

アフマド・シャーの治世は短く、混乱と権力闘争に満ちたものでした。彼の統治の背後には、ムガル帝国の衰退の兆しが見え、後の歴史にも影響を与えることとなる出来事が散見されます。このように、アフマド・シャーはムガル帝国の重要な一角を成しながらも、その運命に翻弄された人物の一人でした。

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