アブサロン級多目的支援艦

アブサロン級多目的支援艦について

アブサロン級多目的支援艦は、デンマーク海軍に所属する先進的な支援艦で、2020年にはフリゲートに再分類されました。艦名の由来は、同国の大司教であり軍事指導者であるアブサロンにちなみます。

船体と機関の特徴

この艦は、元々は輸送艦や揚陸艦、機雷戦艦艇としての運用を考慮して設計されていますが、任務の多様化により、戦闘艦としての性能も求められています。これに応じて、スタンフレックス・シリーズ（SF-3500）という設計が採用され、フリゲートに準じた構造が持たれていますが、支援艦機能が重視されています。このため、エンジン数は減少し、艦のシルエットも高く設計されています。

このシリーズは、各種の装備をモジュール化して搭載することで多様な運用が可能になるスタンダード・フレックス・コンセプトに基づいています。これにより、艦内には915m²の多目的甲板が設けられ、さまざまな役割を果たすための設備を搭載可能です。この多目的甲板は、両舷と船尾の車両用ランプや艦尾の舟艇揚降用ハッチと接続されており、効率的な運用が実現されています。

艦内は、長期間の遠征に対応するために、フィットネスジムや大型テレビ、北欧製の木製テーブルを用いた快適な食堂設計がされています。さらに、海洋環境保護に配慮して、バラスト水処理装置も搭載されています。

戦闘艦としての機能

アブサロン級は、同時期に建造されたイーヴァ・ヴィトフェルト級フリゲートと同等の性能を持ち、C4ISRシステムを中心に構築されています。デンマーク製のC-Flex戦術情報処理装置をベースにしており、多目的性を重視した設計から、主なセンサーにはSMART-S Mk.2が搭載されています。

火力に関しても、高性能を誇り、前甲板にはMk.45 5インチ単装砲が1基、艦橋や後部ヘリコプター格納庫上にはエリコン・ミレニアム35mmCIWSが2基装備されています。また、ミサイルシステムはスタンフレックス方式によって拡張可能で、通常はハープーン艦対艦ミサイルやESSM個艦防空ミサイルが運用できます。合計で4基の射撃指揮装置も装備されています。

支援機能の充実

アブサロン級は、さまざまな支援任務にも対応可能です。輸送艦としての役割を果たし、車両用ランプや多目的甲板により、最大55両の車両、例えばレオパルト2戦車を搭載できます。また、居住区では200名の兵員が宿泊可能です。

さらに、艦尾の舟艇揚降用ハッチを活用すれば、迅速に舟艇を展開できます。通常搭載されるSRC-90E舟艇は2隻です。

医療支援には、緊急時に患者を受け入れるためのコンテナを設置可能で、1日に40名の救急患者を処置でき、手術も行うことができます。また、機雷戦用のコンテナを用いれば、300個の機雷を輸送し敷設することも可能です。

指揮艦としての機能も兼ね備え、最大で205名の司令部要員を収容できる設計となっています。このような多用途性が、アブサロン級多目的支援艦の大きな特長です。

配備状況

この艦級は、2008年から合同海上部隊に参加しており、海上治安活動の国際任務にも従事しています。特に、「アブサロン」は2009年3月にソマリア沖の海賊対策任務に参加し、3週間ごとに寄港地での補給を行いながら任務を遂行しました。

アブサロン級多目的支援艦は、その多様な機能と先進的な設計を持つことから、デンマーク海軍において重要な役割を果たしています。

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