SMART-S

SMART-Sレーダー：多用途対空捜索システム

SMART-Sは、オランダのタレス・ネーデルラント社（旧シグナール社）が開発した、Sバンドを使用する3次元レーダーです。その高い対空捜索能力から、世界各国の海軍艦艇に広く採用されています。

システム概要

SMART-Sは、MW-08（Cバンド小型版）やSMART-L（Lバンド長距離捜索版）といった派生型レーダーを生み出しました。本システムは、Sバンドの周波数帯を使用することで、MW-08よりも長距離での対空捜索に特化した設計となっています。

高性能を達成するため、SMART-Sは進行波管（TWT）送信機と、16列のストリップラインを積み重ねたプレーナアレイ・アンテナを採用しています。このアンテナにより、同時に12本のビームを生成し、広範囲な上空を効率的に走査することが可能です。

2003年には、改良型のSMART-S Mk 2が発表されました。これは、従来の2次元レーダーDA-08と3次元レーダーMW-08を統合・代替するシステムとして位置付けられています。さらに、SEAPAR多機能レーダーと組み合わせることで、ESSMミサイルを使用する個艦防空システムを構築することも可能です。SEAPARはAPARレーダーの小型・簡易版であり、SMART-S Mk 2とSEAPARの組み合わせは、APARとSMART-Lの連携関係と同様の役割を果たします。

運用国と搭載艦艇

SMART-Sレーダーは、世界中の海軍艦艇に搭載されています。主な運用国と搭載艦艇は下記の通りです。

オマーン海軍: ハリーフ級コルベット
オランダ海軍: カレル・ドールマン級フリゲート、ヤコブ・ファン・ヘームスケルク級フリゲート（近代化改修後）
カナダ海軍: ハリファックス級フリゲート（HCM/FELEX改修後）
大韓民国海軍: 仁川級フリゲート
コロンビア海軍: アルミランテ・パディーヤ級フリゲート（近代化改修後）
チリ海軍: ヤコブ・ファン・ヘームスケルク級フリゲート、カレル・ドールマン級フリゲート
デンマーク海軍: アブサロン級多目的支援艦
ドイツ海軍: ブランデンブルク級フリゲート
トルコ海軍: アダ級コルベット、G級フリゲート（近代化改修後）
フランス海軍: ゴーウィンド型コルベット、カサール級駆逐艦（2番艦のみ、近代化改修後）
ベルギー海軍: カレル・ドールマン級フリゲート
ポルトガル海軍: カレル・ドールマン級フリゲート
モロッコ海軍: シグマ型コルベット

関連システム

SMART-Sは、他のレーダーシステムと密接に関連しています。

DAシリーズ: 同社製の2次元レーダー。SMART-Sと周波数帯が同じです。
* AN/SPS-52: アメリカ合衆国製の3次元レーダー。SMART-Sと同様のSバンドを使用しますが、より大型で出力も大きいです。

まとめ

SMART-Sレーダーは、その優れた性能と信頼性から、世界各国の海軍において重要な対空捜索システムとして広く運用されています。様々な艦艇への搭載実績と、他システムとの高い互換性により、今後もその重要性はますます高まると予想されます。

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