アブドゥッラー・ブン・アブドゥルマリク

アブドゥッラー・ブン・アブドゥルマリク

アブドゥッラー・ブン・アブドゥルマリク（677年頃または680年頃 - 749年または750年）は、ウマイヤ朝の王族として生まれ、初期には将軍として、後にエジプト総督として活躍した人物です。

生涯

アブドゥッラーは、カリフ、アブドゥルマリクの息子としてダマスクスで育ちました。彼の初期の軍事的な功績として、700年または701年にビザンツ帝国の将軍ヘラクレイオスに対抗し、テオドシオポリスの要塞を占領し、小アルメニアを襲撃したことが挙げられます。701年には、イブン・アル＝アシュアスの反乱鎮圧のためイラクへ派遣され、アル＝ハッジャージュ・ブン・ユースフを支援しました。702年には、ユーフラテス川東方のアルメニア諸州で発生した反乱鎮圧のため、軍を率いて派遣されています。703年には、キリキアのモプスエスティアを征服し、同地をウマイヤ朝の拠点として再構築しました。

704年後半にはアルメニアから呼び戻され、705年には叔父のアブドゥルアズィーズ・ブン・マルワーンの後任としてエジプト総督に任命されました。アブドゥルアズィーズが20年間エジプトを統治し、事実上の私領としていた状況から、アブドゥッラーの統治はウマイヤ朝政府によるエジプト支配の確立を目指すものでした。そのため、アブドゥルアズィーズが任用した現地の支配層を解任し、政府の行政をアラビア語で行うよう指示しました。しかし、彼の在任中にはエジプトは飢饉に見舞われ、アブドゥッラー自身も汚職や公金横領の疑いをかけられました。708年または709年には総督を更迭され、財産も没収されています。

749年または750年には、アッバース朝の初代カリフであるサッファーフによってヒーラで磔刑に処されたと伝えられています。

アブドゥッラー・ブン・アブドゥルマリクは、ウマイヤ朝の拡大と支配の確立に貢献しましたが、その統治は必ずしも成功したとは言えませんでした。彼の生涯は、当時の政治的な駆け引きや権力闘争、そしてウマイヤ朝の盛衰を映し出すものと言えるでしょう。

参考文献

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