アブドゥルアズィーズ・イブン・サウード

アブドゥルアズィーズ・イブン・サウード：サウジアラビア建国の英雄

アブドゥルアズィーズ・ビン・アブドゥルラフマーン・ビン・ファイサル・アール・サウード（1876年 - 1953年）は、初代サウジアラビア国王として、その国を建国し、近代化を推し進めた傑出した指導者です。彼は、ワッハーブ派イマームとしても知られ、アブドゥルアズィーズ2世とも呼ばれました。

生涯：失われた王国の再興

アブドゥルアズィーズは、かつてアラビア半島を支配したサウード家の出身でしたが、彼の幼少期は苦難に満ちていました。一族はリヤド周辺にまで勢力を縮小し、ラシード家の支配下に置かれていました。1891年、父がリヤドからの排除に失敗した後、アブドゥルアズィーズは一族と共にクウェートへ亡命、これにより第二次サウード王国は完全に滅亡しました。

しかし、彼は故郷への帰還を諦めませんでした。1902年、わずか40人の兵を率いてリヤドを奪還。この劇的な勝利は、彼のリーダーシップと勇気を示すものでした。

第一次世界大戦と勢力拡大

第一次世界大戦中、アブドゥルアズィーズはイギリスと協力し、勢力を拡大しました。1921年には宿敵ラシード家を滅ぼし、1925年にはヒジャーズ王国をハーシム家から奪取。着実にその支配領域を広げていきました。1927年にはイギリスとジッダ条約を結び、ナジュド王国の独立を認めさせ、国際的な地位を確立しました。

1932年、アブドゥルアズィーズはサウジアラビア王国の建国を宣言し、初代国王に即位しました。

サウジアラビア建国後：石油と国際関係

サウジアラビア建国後、アブドゥルアズィーズは国家の近代化に尽力しました。1938年には国内で油田が発見され、石油収入が国の経済を大きく発展させました。彼は、アメリカ合衆国との関係を強化し、油田開発を進めました。

第二次世界大戦では、連合国側の一員として行動し、1945年にはフランクリン・ルーズベルト大統領と会談するなど、国際的な舞台でも存在感を示しました。

宗教と国家の基礎

アブドゥルアズィーズは、厳格なワッハーブ派イスラム教を国教として定め、サウジアラビア王国の基礎を築きました。彼の宗教的な信念は、国の政治や社会に大きな影響を与えました。

人物像：カリスマ性と決断力

アブドゥルアズィーズは、身長2メートルの大男で、武勇に秀でていました。彼のカリスマ性と決断力は、多くの人々を魅了し、国をまとめ上げる力となりました。

泥棒の手首を切断する刑罰をアメリカが諫言した際、「罪を償わせるために何年も牢屋に入れるのと、いましめのために手首を斬って釈放するのと、果たしてどちらが個人の自由を尊重しているのか？」と答えたエピソードは彼の信念をよく表しています。

また、100回以上の結婚を余儀なくされたことは、彼がアラブ社会の有力部族との関係を重視していたことを示しています。

家族と子孫

アブドゥルアズィーズは、多くの子をもうけました。彼の息子たちは、サウジアラビアの政治や経済において重要な役割を果たしています。特に、スデイリー・セブンと呼ばれる7人の息子たちは、国の権力の中枢を担ってきました。

晩年と崩御

アブドゥルアズィーズは、1953年11月9日に狭心症により崩御しました。彼の遺志は、息子たちによって受け継がれ、サウジアラビアは更なる発展を遂げています。

アブドゥルアズィーズ・イブン・サウードは、サウジアラビアの歴史において最も重要な人物の一人です。彼のリーダーシップと決断力は、国を建国し、近代化を推し進め、今日のサウジアラビアの繁栄の基礎を築きました。

もう一度検索