ハーシム家

ハーシム家の歴史と系譜

ハーシム家（アラビア語: الهاشميون‎、al-Hāshimīyūn）は、イスラム教の預言者であるムハンマドに由来する著名な王家です。そのルーツは、ムハンマドの曽祖父であるハーシムに遡り、彼は約500年に亡くなったとされています。ハーシム家はクライシュ族に属し、アッバース朝もこの一門から出たことが知られています。

家系としてのハーシム家

ハーシムの息子であるアブドゥルムッタリブには、アブドゥッラーフ、アブー＝ターリブ、アッバースという名の息子たちがいます。その中で、アブドゥッラーフの息子であるムハンマドは、ファーティマとの結婚を通して血統を残しました。具体的には、アブー・ターリブ家とアッバース家にハーシム家は大きく分かれます。

アブー・ターリブ家には、アリーだけでなく、ジャアファルやアキールの家系も存在します。一方、アリー家にはファーティマとの間に二人の息子、ハサンとフサインが生まれました。この系譜は、特にファーティマ家とも呼ばれることがあります。さらに、アリー家にはムハンマド（ブン・アリー）、アッバース（ブン・アリー）、ウマル（ブン・アリー）の家系があります。

ハーシム家やその一族は、歴史においてムスリム社会の中で高く評価され、多くの敬称で呼ばれてきました。特に、預言者の血筋を引く人々は、一般にファーティマとアリー家に関連して言及され、多くの場合、フサイン家のメンバーはサイイドという尊称で呼ばれ、ハサン家のメンバーはシャリーフと称されます。地域によっては異なる称号が用いられることもあります。

王朝としてのハーシム家

ハーシム家は、イスラム教の預言者ムハンマドの孫であり、第4代正統カリフであるアリーとファーティマの息子ハサンに端を発するアラブの王朝でした。967年にはタイモンにより、マッカでの宗教指導者および地方総督としての役割を果たしていました。

1917年から1925年にかけて、メッカのアミールフサイン・イブン・アリーはアラブ反乱を引き起こし、オスマン帝国からの独立を目指した結果、ヒジャーズ王国を設立しました。しかし、サウード家のイブン・サウードによって国を奪われ、フサインは亡命を余儀なくされました。

その後、1921年から1958年まで、ファイサル1世の手によりイラク王国が築かれました。初めはイギリスの委任統治下に置かれましたが、その後独立を果たします。1958年の7月14日革命によりイラク王国は滅亡し、多くの旧ヒジャーズ王族がイラク王族に合流しました。

ヨルダンでは、1921年から現在に至るまでハーシム家が王家として存在しており、イラク革命後も旧ヒジャーズ・イラク王族が合流しています。同じくハサン家の末裔を名乗るモロッコのアラウィー朝など、ハーシム家は歴史的に重要な役割を果たしてきました。

ヨルダン・ハーシム家の歴代国王

• - アブドゥッラー1世（在位：1923年～1951年）
• - タラール1世（在位：1951年～1953年）
• - フセイン1世（在位：1953年～1999年）
• - アブドゥッラー2世（在位：1999年～現在）

イラク・ハーシム家の歴代国王

• - ファイサル1世（在位:1921年～1933年）
• - ガージー（在位:1933年～1939年）
• - ファイサル2世（在位:1939年～1958年）

このようにハーシム家は、数世代にわたる王家の系譜を有し、イスラム世界において重要な地位を占め続けています。

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