アボッツフォード

アボッツフォード（Abbotsford）

アボッツフォードは、カナダのブリティッシュコロンビア州南西部に広がる都市です。州最大の都市バンクーバーから東へおよそ65キロメートルの距離に位置していますが、メトロバンクーバー地域には含まれていません。西側はメトロバンクーバーに隣接し、南側はカナダとアメリカ合衆国の国境に接しています。州内の主要都市の一つであるチリワックは、アボッツフォードの東方約35キロメートルに位置しています。

歴史

この地域の開発は、1858年のゴールドラッシュ期に端を発します。当時、イギリス軍がフレーザー川流域の測量を行い、これが後の入植の礎となりました。1860年代後半には、初期の入植者たちがタバコの栽培や、牛乳、バターといった乳製品の生産を開始し、地域経済の基盤を築きました。カナダ初の大陸横断鉄道であるカナダ太平洋鉄道が1886年に開通しましたが、当初の駅はフレーザー川北岸のミッションに設置されました。その後、1891年にミッションからアボッツフォードを経由して国境の町スマスまでを結ぶ支線が建設され、鉄道網がこの地域に延伸されました。さらに、1910年にはブリティッシュコロンビア電気鉄道も開通し、交通インフラが整備されました。

人口と多様性

2021年の統計によれば、アボッツフォードの人口は15万3524人に達しています。これはブリティッシュコロンビア州内において、バンクーバー、州都ビクトリア、ケロウナに次ぐ第4位の人口規模です。

アボッツフォードは、トロント、バンクーバーに次いで、カナダ国内で3番目に民族構成が多様な都市として知られています。人口の約79.6%がヨーロッパ系の人々で構成される一方、南アジア系の人々が14.9%を占めており、これは少数民族グループの中では最も大きな割合です。先住民族の人々は2.2%を占めています。また、市民の約23.8%がカナダ国外で生まれており、国際色豊かなコミュニティを形成しています。

言語に関しても多様性が見られます。英語を第一言語とする人々が全体の71.2%を占めますが、次に多く話されているのはパンジャーブ語です。

宗教

宗教面でも多様な信仰が見られますが、キリスト教徒が全体の61.4%と最も多く、その多くがプロテスタントや再洗礼派の信徒です。次に多いのがシク教徒で13.4%を占めます。アボッツフォードには、カナダ国内で最初に建設されたシク教寺院があり、地域のシク教コミュニティにとって歴史的かつ重要な場所となっています。

交通

市の交通において重要な役割を担っているのが、アボッツフォード国際空港（空港コード：YXX）です。この空港はバンクーバー国際空港の代替機能を果たしており、特にウエストジェット航空による定期便が運航されています。また、この空港では隔年で「アボッツフォード国際航空ショー」が開催され、多くの航空ファンや観光客を惹きつけています。

教育と行政

市内には、フレーザーバレー大学をはじめ、サミット・パシフィック・カレッジやコロンビア・バイブル・カレッジといった高等教育機関が立地しており、地域の教育レベル向上に貢献しています。

行政システムとしては、シティ・マネージャー制を採用しています。現在の市議会は、2018年の選挙で選出されたメンバーで構成されており、ヘンリー・ブラウン氏が現職の市長を務めています。

姉妹都市

アボッツフォード市は、日本の北海道にある深川市と姉妹都市提携を結んでいます。この提携は1998年9月13日に締結され、以来両市間で交流が続けられています。

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