アマミヤマシギ

アマミヤマシギ (Scolopax mira)

概要

アマミヤマシギはチドリ目シギ科に属する日本の固有種で、特に奄美群島と沖縄諸島に生息しています。全長約36cmのずんぐりした体形と短い脚を持つこの鳥は、他のシギ類と比較しても特徴的。体色は褐色で、羽には黒や灰色の斑点が見られます。また、頭頂部には黒い横縞が存在し、近縁のヤマシギと比較すると、嘴の基部が太く、先端が鈍くなっています。

分布と生息地

奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島においての繁殖が確認されており、その他にも喜界島や沖永良部島などでの生息が見られます。しかし、これらの島々では繁殖が確認されていないこともあります。アマミヤマシギは、通常薄暗い山の林に生息し、特に朝夕の薄明かりの時間帯に活動が活発です。

生態

アマミヤマシギは、主に土壌生物であるミミズを餌としています。また、繁殖期は2月から始まり、地上に皿状の巣をつくり、3月から5月の初旬にかけて2から4個の卵を産みます。5月には雛も確認されるようになります。繁殖期には独特の「ヴィ、ヴィ」という声を発しますが、冬期間は個体数が減少する傾向があります。

特に沖縄諸島では繁殖が確認されていないため、奄美群島に生息する個体が南方に移動していると考えられています。2021年からの調査では、沖縄本島北部から奄美大島までの渡りが初めて確認されました。

人間の影響

現地での呼称は、奄美方言で「シーギャ」、沖縄方言では「ヤマシジャー」となっています。アマミヤマシギは外来種であるフイリマングースやノネコに捕食されたり、生息地での森林開発、交通事故などの影響を受けています。

保全状況

アマミヤマシギはIUCNのレッドリストで「VULNERABLE (絶滅危惧II類)」に分類され、環境省のレッドリストでも絶滅危惧II類 (VU) に指定されています。また、沖縄県と鹿児島県のレッドデータブックでもそれぞれ絶滅危惧I類およびIB類に登録されており、その主な生息地である湯湾岳は国の天然記念物および鳥獣保護区に指定されています。

まとめ

アマミヤマシギは日本の生態系において特に重要な役割を果たしている鳥類であり、その保全は今後の課題となっています。環境の変化に敏感であるため、私たち人間の活動によってその生息が脅かされることのないよう、適切な対策が求められます。

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