アマレク人

アマレク人は、古代パレスチナに存在した遊牧民族です。彼らは、後にユダヤ人に吸収され、歴史から姿を消しました。旧約聖書には、イスラエル民族との間で繰り広げられた数々の戦いや、その関係性が詳細に記述されています。

旧約聖書におけるアマレク人

『創世記』では、エサウの息子エリパズと側女テムナの間に生まれた息子としてアマレクという名前が登場します。しかし、その後の記述ではエドム人とは区別され、『申命記』ではエドム人を嫌うなとある一方で、アマレク人に対しては恨みを忘れるなと、明確に異なる扱いを受けています。

アマレク人は、旧約聖書においてイスラエル民族の敵として一貫して描かれており、その敵対関係は非常に激しいものでした。彼らは聖絶の対象とされ、女子供を含めた無慈悲な虐殺が描かれる場面も存在します。

『出エジプト記』では、エジプトから脱出したモーセ一行が最初に攻撃を受けたのがアマレク人でした。この攻撃が、アマレク人が主の怒りを招いた行為とされています。この戦いでは、モーセが山に登って神に祈り、ヨシュアが兵士たちと共に戦い、イスラエル軍が勝利を収めました。

『サムエル記』には、イスラエルの初代の王サウルが、神の命令に背いてアマレク人を全滅させなかったことが記述されています。サウルはアマレク人の王アガクを生かしたため、神の怒りを買い、王権を失うことになりました。この出来事について、フラウィウス・ヨセフスは『ユダヤ古代誌』で、サウルがアガクを生かしたのは不適切な行為であると解説しています。通常であれば殺さなければならない乳飲み子さえ殺さなければならない状況において、その美しさに感心して災いの元になった王を生かすことは、情けではなく不適切な行為であると述べています。

また、『エステル記』には、アルタクセルクセス王に仕えていたハマンという男が登場します。ハマンは『エステル記』本編では「アガグ人」や「マケドニア人」と呼ばれていますが、ヨセフスは『ユダヤ古代誌』でハマンを「アマレク人の末裔」と記述しています。この関係から、ハマンはユダヤ人のモルデカイを快く思っていなかったとされています。

関連項目

ネフィリム
エサウ
アナク人
ベンヤミン・ネタニヤフ

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