アミドトリゾ酸

アミドトリゾ酸について

アミドトリゾ酸（Diatrizoate, amidotrizoate）は、主にX線撮影に利用される造影剤です。この薬剤は、通常のX線では描出できない内臓や血管、尿路系などを可視化する役割を果たします。また、コンピュータ断層撮影（CTスキャン）においてもその使用が見られます。

投与方法

アミドトリゾ酸の投与方法は多岐にわたり、経口、経静脈、経尿道、経直腸、経カテーテルなど、患者の状態に応じた最適な方法が選択されます。これにより、異なる病態に対して効果的な造影が行えます。

副作用と注意点

この造影剤の使用にあたっては、いくつかの副作用が報告されています。比較的よくある副作用には、嘔吐、下痢、皮膚の発赤が含まれます。その他に、かゆみや腎障害、低血圧、アレルギー反応といった深刻な症状が現れることもあります。また、ヨウ素アレルギー歴のある患者には使用が禁じられています。アミドトリゾ酸は高浸透圧を持つヨウ素系造影剤であり、その化学的特性が画像診断の精度に寄与しています。

薬理作用

アミドトリゾ酸の主成分であるヨウ素は、X線に対する高い吸収能力を有しています。この特性により、アミドトリゾ酸が存在する部位ではX線が通過せず、周囲の組織が透過するため、画像上に明確なコントラストが生まれます。

医療用製品

日本においては、アミドトリゾ酸とメグルミンの合剤が利用可能です。具体的には、「ガストログラフイン」という名称で経口・注腸用剤として、また、「ウログラフイン」という注射液がバイエル薬品から提供されています。

ガストログラフインは、硫酸バリウムの代替品として用いられ、上部消化管や小腸の透視に適しています。バリウムにアレルギーを持つ患者や、バリウムの漏れのリスクがある場合には、アミドトリゾ酸が優れた選択肢となります。ただし、バリウムに比べて消化管の粘膜描出能力は劣るため、一般的なX線透視での使用は限定的です。

また、アミドトリゾ酸は寄生虫の駆虫にも役立つことが報告されています。回虫やアニサキスの駆虫に利用されることがあり、特に小腸に嵌入した回虫の塊に対して、消化液と共に滑らせて自然に排泄させる方法が有効とされています。

適応症

ガストログラフイン

• - 消化管撮影

- 狭窄の疑いがある場合
- 急性出血が認められる場合
- 穿孔のリスクがある（消化器潰瘍や憩室など）場合
- 外科手術が急務の急性症状時
- 胃や腸の切除後（穿孔の危険及び縫合不全のリスク）
- 内視鏡検査前の異物や腫瘍の造影
- 胃・腸瘻孔の造影
- コンピュータ断層撮影における上部消化管の造影

ウログラフイン

• - 内視鏡的逆行性膵胆管撮影（ERCP）
• - 経皮経肝胆道撮影（PTGB）
• - 唾液腺撮影

化学的特性

アミドトリゾ酸は高浸透圧を有し、50%の溶液では約1500 mOsm/kg、76%では2000 mOsm/kg以上の浸透圧を示します。これにより、造影効果が高まり、正確な診断がサポートされます。

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