アメリカ合衆国とイランの関係

アメリカ合衆国とイランの外交関係の変遷

アメリカ合衆国とイランの外交関係は、19世紀後半より始まりました。初期の段階では政治的・文化的な交流があり、両国は同盟国としての関係を築いていました。1980年代に入ると、その関係は劇的に変化し、今日まで続く対立に発展しました。

初期の交流と関係の構築

1834年、アメリカの宣教師ジャスティン・パーキンスとアサヘル・グラントがイランに派遣され、これが両国間の交流の始まりとされています。1856年には、イランのナーセロッディーン・シャーがミールザー・アボルハサン・シーラーズィーをワシントンに公式大使として派遣しました。一方、アメリカ合衆国も1883年にサミュエル・ベンジャミンを初めての外交使節としてイランに任命し、正式な外交関係が築かれました。

この交流に加えて、アメリカ人医師による医療教育活動も始まり、1870年代にはオルーミーイェ大学の前身となる学校が設立されました。また、イランとアメリカの間では、ペルシャ湾を通じてテヘランへの鉄道建設のための交渉も行われましたが、イギリスの圧力により実現しませんでした。

戦間期の親密な関係

第二次世界大戦以前、アメリカとイランの関係は非常に親密でした。特に、イランの立憲派はアメリカを「第三の勢力」として評価し、イラン経済の近代化に向けた支援を received。立憲革命においてはアメリカ人のハワード・バスカーヴィルが戦死し、その後もアメリカはイランの経済改革に協力しました。

1921年のクーデターにイギリスが関与したという見解が広まりました。アメリカはこの時期、イギリスの同盟国ではなかったものの、イランとの協力関係は続きました。特にレザー・シャーの時代、一部のアメリカ人が総財務官として任命され、近代化政策を推進していきます。

イラン革命と対立の始まり

しかし、1950年代に入ると状況は変わりました。モハンマド・モサッデク首相の石油国有化運動が激化し、これに対抗する形で米英の共同作戦が実行されました。1953年のクーデターによってモサッデク政権が崩壊し、シャーが復帰したことにより、アメリカはイラン政府を強力に支援する体制が確立されました。シャーの政策は急速な近代化を促進しましたが、これがイラン国民の不満を引き起こす要因ともなりました。

1979年にはイラン・イスラム革命が起き、シャーは亡命を余儀なくされます。アーヤトッラー・ホメイニーが新たな指導者となり、アメリカに対して敵対的な態度を取るようになりました。

大使館人質事件と経済制裁

1979年11月、アメリカ大使館が占拠され、大使館員52人が444日間人質となりました。この事件を受けて、アメリカはイランとの国交を断絶し、経済制裁を実施しました。これにより、双方の緊張状態はますます高まりました。

1980年代にはアメリカ政府はイランをテロ支援国家として指定し、対イランの軍事行動も視野に入れていました。特に、1988年のペルシア湾での海軍による交戦や、イラン航空655便の撃墜事件が両国の関係を更に悪化させました。

核開発と現在の関係

2000年代以降、イランの核開発問題がクローズアップされ、アメリカはイランに対する圧力を強化しています。イラン側は平和利用であると主張し続けているものの、その信頼性が疑問視されています。今日のアメリカとイランの関係は、過去の歴史を反映しながらも、依然として解決が難しい状態が続いています。

結論

アメリカとイランの関係は、長きにわたり歴史的な交流や協力があった一方で、多くの対立や緊張も孕んできました。それぞれの国が抱える問題や政治的背景が影響を及ぼし続けており、今後も両国間の関係の改善には多くの課題が残されています。

もう一度検索