アラバマ (戦艦)

USSアラバマ (BB-60)

アメリカ海軍の戦艦「アラバマ」（USS Alabama, BB-60）は、サウスダコタ級戦艦の一隻であり、アメリカ海軍の造船所で誕生しました。艦名はアラバマ州にちなんで名付けられ、本艦はこの名を持つ艦としては三番目の存在です。第二次世界大戦後、記念艦として保存され、今日でも訪れる人々に歴史を語りかけています。

建造と艦歴

「アラバマ」は1940年2月1日に起工され、1942年2月16日にリスター・ヒル夫人によって命名され、進水しました。進水式には海軍長官フランク・ノックスも出席しました。艦の就役は同年8月16日で、初代艦長はジョージ・B・ウィルソン大佐が任命されました。

第二次世界大戦

整調が完了し、「アラバマ」は1942年11月11日にチェサピーク湾で整調巡航を開始しました。その後、メイン州カスコ湾へと進み、訓練を行います。1943年に入ると、艦は第22.2任務群に割り当てられ、戦術的な機動作戦に向けて準備を進めました。

この期間、イギリス海軍は地中海戦域に主力艦を投入する必要があり、大西洋や北極海を警護する艦艇が不足していました。「アラバマ」と姉妹艦「サウスダコタ」は、イギリスの要請に応じて派遣されることとなります。1943年4月2日、「アラバマ」はオラフ・M・ハストヴェット提督指揮のもと、イギリスに向かう第22任務部隊の一部として出航し、最終的にはスカパ・フローに到着します。

その後、「アラバマ」は本国艦隊の指揮下で共同作戦に参加し、さまざまな演習を経て、1943年には第三次ギアボックス作戦や、ハスキー作戦における陽動の一環として活動を行いました。実際、アメリカの主力艦隊に戻った際には、サウスダコタ級の4隻全てが太平洋に揃うこととなります。

大戦後の役割

大戦終盤、艦は日本降伏に伴い占領業務を支援。1945年の8月15日に日本が降伏すると、「アラバマ」は水兵を横須賀や東京に運ぶ任務に従事しました。その後も空母部隊の護衛任務や捕虜収容所の捜索など、多岐にわたる役割を果たしました。

1947年1月9日にシアトルで退役し、ブレマートンの太平洋予備役艦隊に従事。その後、1962年6月1日には除籍されています。アラバマ州民はこの艦を記念艦として保存するための委員会を組織し仲間たちが尽力した結果、1964年にモービル湾のバトルシップ・メモリアル・パークに展示されることとなります。1986年にはアメリカ合衆国国定歴史建造物に指定されました。

映画と文化における「アラバマ」

アラバマは記念艦としてだけではなく、映画のロケ地としても利用されており、映画『沈黙の戦艦』では戦艦「ミズーリ」の代役を務めました。また、2016年の映画『パシフィック・ウォー（原題USS Indianapolis: Men of Courage）』でも、本艦が重巡「インディアナポリス」のシーンに利用されました。

「アラバマ」はその戦功によって9個の従軍星章を受章しており、歴史的な価値を持っていると言えます。今日でも、多くの訪問者がこの艦に興味を持ち、訪れているのは、彼女が持つ歴史と勇気の象徴としての存在故でしょう。

もう一度検索