アラム・サルキシャン (アルツァフの政治家)

アラム・アレクセイ・サルキシャン（アルメニア語: Արամ Ալեքսեյի Սարգսյան、1983年8月5日 - ）は、アルツァフ共和国（旧ナゴルノ・カラバフ共和国）の政治家であり、同国の国家大臣（首相に相当）を務めています。彼は都市開発大臣（2020年 - 2023年）の経験も持ち、アルツァフの政治において重要な役割を担っています。

生い立ちと教育

1983年8月5日、サルキシャンは、当時のソビエト連邦アゼルバイジャン・ソビエト社会主義共和国ナゴルノ・カラバフ自治州のステパナケルトで生まれました。2003年には、アルメニア国立工科大学のエネルギー学科を卒業し、工学士の学位を取得しました。その後、2005年までアルツァフ国防軍で兵役を務めました。

職務経歴

兵役後、サルキシャンは2005年にArtsakhEnergo CJSCに電気技師として入社しました。2007年から2012年までは、同社のステパナケルト支店で営業部門長として勤務しました。この間、2008年にはアルツァフ大学経営学部を卒業しています。2012年には、都市開発省の技術監督部門で主任専門技術監督者に任命され、技術者としての専門知識を活かしました。また、2016年4月のナゴルノ・カラバフ紛争（4日間戦争）にも従軍しています。

政治家としてのキャリアは、2018年10月の国民議会補欠選挙で第2区選挙区から立候補し、当選したことから始まりました。10月11日より国会議員として活動を開始しました。

2020年5月26日には、アライク・ハルチュニャン大統領によって都市開発大臣に任命され、インフラ整備や都市計画に携わりました。同年9月に勃発した2020年ナゴルノ・カラバフ紛争（44日間戦争）では、甚大な被害を受けた街の復興に尽力しました。2023年3月8日に都市開発大臣を解任され、後任にはアザト・ヴィレニ・ハンバルズミャンが任命されました。

2023年9月、アゼルバイジャンの攻勢によりアルツァフは事実上降伏し、政府関係者はアルメニアへ脱出しました。当時の国家大臣であったアルツル・ハルチュニャンは、さらにヨーロッパへ亡命しましたが、アルメニア当局の要請により解任が保留されていました。2024年1月、ハルチュニャンが正式に解任され、後任としてサルキシャンが国家大臣に任命され、アルツァフの政治的リーダーとしての役割を引き継ぎました。

私生活と家族

サルキシャンは既婚者であり、弟がいます。父親は、エネルギー関連の有限責任会社アラメを2006年に設立しました。サルキシャンは同社の株式を25%保有していましたが、都市開発大臣就任後に妻に譲渡しました。アラメは2022年10月時点で、サルキシャンの妻が50%、弟が50%の株式を保有しており、家族経営となっています。2021年には、都市開発省とアラメの間で3億2,900万ドラム相当の契約が締結されましたが、契約書の内容は公表されていません。

サルキシャンは、技術者としてのキャリアから政治の世界へと転身し、アルツァフの復興と国家運営に重要な役割を果たしています。彼の経歴は、アルツァフの激動の歴史と複雑な政治情勢を反映しており、今後の動向が注目されています。

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