アリアン6

アリアン6 (Ariane 6)

アリアン6は、アリアングループが開発・運用する使い捨て型ロケット（ELV）であり、アリアン5の後継機として位置づけられています。2024年7月9日（現地時間）にギアナ宇宙センターから初の打ち上げに成功しました。このロケットは、アリアンシリーズの最新型であり、今後の宇宙開発における重要な役割を担うことが期待されています。

機体構成

アリアン6は、打上能力を調節するために、A62とA64という2つのタイプで構成されています。これらの主な違いは、1段目に使用される固体燃料ロケットモーター「P120」の数です。A62はP120を2本、A64は4本装備しています。P120は、ヴェガCロケットの1段目としても使用されることで、開発コストの削減が図られています。

中央のコアブースターは2段目の役割を担い、アリアン5ECAで使用されていたヴァルカンIIエンジン（液体酸素/液体水素推進剤）を採用しています。また、3段目にはアリアン5ME向けに開発されていたヴィンチエンジン（液体酸素/液体水素推進剤）が採用されています。

アリアン6の打ち上げ能力は、A62が静止トランスファ軌道（GTO）へ5トン、A64がGTOへ10.5トンとなっています。

開発経緯

アリアン6の構想は、アリアン5の検討が始まった1980年代半ばに遡ります。当初は、再使用型打ち上げ機システムの構想がありましたが、予算難などにより計画は中止となりました。その後、アリアン5は使い捨て型ロケットとして開発が継続されることになり、その後の後継機としてアリアン6の検討が始まりました。

2000年代前半には、再使用型打ち上げ機（RLV）のバックアップとしての位置づけでしたが、要素技術の研究の結果、RLVの開発には高い技術的ハードルとコストが必要であることが判明し、アリアン6は従来型の使い捨てロケットとして開発が進められることになりました。

2008年には、20種類の構成案から4種類に絞り込まれ、2012年から2013年にかけて、最終的にNGL PPH案が採用されました。開発開始の最終決定は、2012年11月の欧州宇宙機関（ESA）閣僚級理事会で行われ、その後、EADSアストリアムと協力会社6社によるロケット構成案がESAとフランス国立宇宙研究センター（CNES）に承認されました。

当初、アリアン6は2021年の初飛行を目指していましたが、スペースX社のファルコン9ロケットの台頭により、コスト削減の必要性が高まりました。その結果、フランスとドイツの間で政治的な駆け引きが行われました。最終的には、アリアン6の開発が進められることとなり、2014年12月に合意に至りました。

アリアン6は当初、1機の衛星打ち上げを目的としていましたが、最終的にはアリアン5の後継機として、2機の衛星を同時に打ち上げられる形態となりました。

過去に検討された構成案

2013年の段階では、以下の4種類の構成案が検討されていました。

NGL PPH: 固体ロケットモーターを複数使用する構成で、静止軌道へのペイロード投入能力は3tから6.5tです。
NGL HHSC: 高推力な二段燃焼サイクルエンジンを使用し、必要に応じて固体ロケットブースターを装着する構成です。
NGL HHGG: 高推力なガス発生器サイクルエンジンを使用し、必要に応じて固体ロケットブースターを装着する構成です。
NGL CH: 液体酸素とメタンを推進剤とするエンジンを使用し、必要に応じて固体ロケットブースターを装着する構成です。

最終的に、NGL PPH案が採用され、現在のアリアン6の基礎となっています。

打ち上げ履歴

アリアン6は2024年7月に初打ち上げに成功しました。今後の打ち上げ履歴については、追って更新される予定です。

関連事項

ファルコン9: スペースX社の宇宙ロケットであり、アリアン6の競合機です。
H3ロケット: 日本の宇宙ロケットであり、人工衛星打ち上げ市場で競合します。

外部リンク

ESA - Ariane 6 (英語)
CNES - Ariane 6 (英語)
Arianespace - Ariane 6 (英語)
ESAが公開したアリアン6の打上イメージビデオ 2014年12月2日 ESA
* ファルコン9を迎え撃て! - 欧州の次世代ロケット「アリアン6」 2015年1月23日 マイナビニュース

もう一度検索