アルゲ・バム

アルゲ・バム - 歴史的要塞都市の遺跡

アルゲ・バム（ارگ بم, Arg-e Bam）は、イランのケルマーン州に位置する歴史的な要塞都市の遺跡であり、近代都市バムの近郊にあるこの場所は、イランにおける文化遺産の一つとして注目されています。アルゲ・バムの名称は「バムの城」を意味し、その壮大な遺跡はオアシスの恵みを享受するために設計された、独特の建築技術と都市計画を反映しています。

この遺跡のユニークな特徴は、アドベ（日干しレンガ）とカナート（地下水路）の巧妙な使用です。周辺にはヤシの木立が茂り、かつては水の供給と農業が盛んに行われていたことを示しています。アルゲ・バムの歴史は古く、パルティア時代に起源を持つと推測され、サーサーン朝ペルシア期には最初の都市が形成されました。さらに、サファヴィー朝の時代（16-17世紀）に、今の姿を見ることのできる城壁が完成しました。しかし、1722年にはアフガニスタンのパシュトゥーン人による攻撃を受け、以後放棄されて廃墟と化しました。

地震と世界遺産登録

2003年12月26日には、バムを襲った devastating 2003年の大地震により、アルゲ・バムは深刻な被害を受けました。この地震は、歴史的かつ文化的に重要な遺産に大きな打撃を与え、復旧作業が急務となりました。2004年7月には、『バムとその文化的景観』としてユネスコの世界遺産に登録されました。この登録と同時に、危機に直面している世界遺産リストにも掲載されたことが、修復と保護への注目を呼びました。

2013年には、遺跡の修復活動が評価され、危機遺産リストから除外されるという良いニュースがありました。

登録基準と意義

アルゲ・バムが世界遺産として登録されたのは、以下のような重要な基準を満たしているためです。

• - 基準(2) : 建築や技術、記念碑的芸術、都市計画の発展において、文化交流の価値を示しています。
• - 基準(3) : 現存するまたは消滅した文化的伝統に対するユニークな証拠を持っています。
• - 基準(4) : 人類の歴史上の重要な時代を例証する優れた建築様式や景観を有しています。
• - 基準(5) : 特定の文化を代表する伝統的な集落や、その文化と環境との関わりを示す例です。

内部構造と生活空間

アルゲ・バムの内部には、井戸や庭園が設けられており、動物の飼育も行われていました。これにより、長期間の籠城が可能となっていたことが窺えます。また、城内の高い塔にはバードギールと呼ばれる空気冷却装置が設置されていました。この装置は、地下に取り入れた空気を冷やし、居住空間に快適な環境を提供していました。

文化的影響と関連作品

アルゲ・バムはその美しさと歴史的重要性から、様々な文化作品にも影響を与えています。1976年には、イタリア映画『タタール人の砂漠』のロケ地としても使用され、古代の雰囲気をそのままに映し出しています。

これらの要素が組み合わさって、アルゲ・バムはイランの文化遺産としての価値を持ち続け、多くの人々にとっての歴史的な訪問先となっています。

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