アルゼンチン航空322便墜落事故

1961年11月23日、アルゼンチン航空322便は、ヴィラコッポス国際空港を離陸直後に墜落し、搭乗していた乗員乗客52名全員が死亡するという痛ましい航空事故が発生しました。

事故機について

事故を起こした機体は、デ・ハビランド コメット4（機体記号LV-AHR）で、製造番号6430として1960年に製造されました。エンジンはロールス・ロイス エイヴォン 524を搭載していました。

事故の経緯

322便は、アルゼンチンのエセイサ国際空港を出発し、ヴィラコッポス国際空港を経由して、次の目的地であるブラジルのピアルコ国際空港へ向かう予定でした。その後の最終目的地は、アメリカのジョン・F・ケネディ国際空港でした。1961年11月23日午前5時38分、322便はヴィラコッポス国際空港を離陸しましたが、離陸直後に悲劇が起こりました。高度約100メートルに達した後、機体は突然高度を下げ始め、ユーカリの木に衝突し、その衝撃で燃料タンクが爆発しました。この事故により、乗員乗客52名全員が亡くなりました。

事故調査

この事故の調査は、事故が発生したブラジルと、事故機の登録国であるアルゼンチンによって共同で行われました。事故当時の気象状況は、「高度400メートルに雲量7/8の層積雲、高度2,100メートルに雲量8/8の高層雲が存在する」というものでしたが、ブラジル航空省は、この気象状況が事故に直接的な影響を与えたとは判断しませんでした。さらに調査の結果、副操縦士がコックピットの左席に座っていたことが判明しました。これは、322便の運航中に副操縦士が機長から飛行指導を受けていた可能性を示唆していると事故調査官は考えました。

ブラジル航空省は、事故原因を以下のように推定しました。

副操縦士が飛行指導を受けていた場合、教官である機長が適切な指導や監督を怠った可能性がある。

一方、アルゼンチン政府は、独自に調査を行い、以下のような声明を発表しました。

「収集した情報に基づき、事故原因は機長が注意を怠り、IFR（計器飛行方式）での飛行が必要となる気象条件であるにもかかわらずIFRを使用せずに離陸したこと、また、コメット4の上昇手順を守らなかったことであると断定する。」

この事故は、パイロットの判断ミスと、適切な手順の遵守の重要性を改めて示す教訓となりました。


この事故調査報告から、機長の注意不足と、悪天候下でのIFR飛行規則の不履行、そして上昇手順の逸脱が重なり、悲劇的な結果を招いたことが明らかになりました。

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