アルトゥル飛行場

アルトゥル飛行場

アルトゥル飛行場は、かつて韓国の済州島西帰浦市大静邑に存在した飛行場です。日本統治時代に建設され、日中戦争や太平洋戦争において重要な役割を果たしました。

歴史

飛行場があった摹瑟浦一帯は、もともと済州島民の農地や牧草地でした。しかし、日本による統治が始まると、この地域が済州島内で最も開けた平坦な土地であったことから、日本軍によって飛行場および関連施設が建設されることになりました。日中戦争が開始されると飛行場は拡張され、長崎県の大村海軍航空隊に代わって、中国本土への爆撃拠点として使用されました。南京などへの爆撃はここから行われました。

太平洋戦争が勃発すると、済州島周辺には関連施設が整備され、戦争末期には、これらの施設を結ぶ地下壕が構築されました。これらの工事には、周辺住民が強制的に動員されました。

終戦後、飛行場はアメリカ軍に接収され、朝鮮戦争時にはK-40済州第二空軍基地として使用されました。朝鮮戦争休戦後は韓国に返還され、大韓民国空軍が管理しています。

2006年、周辺の掩体壕などが近代登録文化財に登録されましたが、滑走路は空軍の反対により登録が見送られました。

施設と遺構

地下壕
コンクリート製で、火山岩や植物によって偽装されています。
掩体壕
20基の掩体壕が設置され、現在19基が現存しています。草に覆われており、特攻隊の飛行機を格納するために使用されたと考えられています。これほど多くの掩体壕が残っている場所は、日本本土を含めて他にありません。
滑走路
約1,400メートルの滑走路がありました。

現状

現在は飛行場としては使用されていませんが、非常時には臨時滑走路として利用される可能性があります。周辺の掩体壕は、農具置き場などとして利用されています。

西帰浦市は、飛行場をダークツーリズムの目的地として活用することを検討しており、周辺道路の整備を進めています。また、平和公園としての整備も計画していますが、土地の所有権が空軍にあるため、計画は難航しています。

この飛行場が南京空襲の拠点であったことから、2014年以降、毎年12月13日の南京事件の日に追悼式典が行われています。

年表

1931年: 飛行場の建設が開始
1935年: 飛行場が完成（面積：60万平方メートル）
1937年: 日中戦争開始により、中国本土への空襲基地として拡張（面積：132万平方メートル）
1944年: 飛行場の拡張工事開始（面積：220万平方メートル）
2002年: 掩体壕が登録文化財に登録
2006年: 地下壕が周辺軍事施設とともに登録文化財に登録
2014年: 南京市民に対する追悼式典が開始

出典

‘난징폭격 거점’ 알뜨르비행장과 ‘강제노역’ 아픔 서린 갱도엔… - ハンギョレ
アルトゥル飛行場 - 済州観光案内

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