アルフォンソ・サルメロン

アルフォンソ・サルメロンは、16世紀スペインにおけるカトリック教会の重要な人物であり、イエズス会の創立メンバーの一人として知られています。1515年、スペインのトレドで生まれたサルメロンは、その生涯を神と教会に捧げ、教育者、神学者、聖職者として多大な貢献を果たしました。

生い立ちとイエズス会への入会

サルメロンは、アルカラでの初期教育の後、ディエゴ・ライネスと共にパリに移り、パリ大学ソルボンヌ寮で学びました。1533年、彼はイグナチオ・デ・ロヨラと出会い、その人格とビジョンに深く感銘を受けました。1534年8月15日、サルメロンはロヨラ、ライネス、フランシスコ・ザビエル、ピエール・ファーヴル、シモン・ロドリゲス、ニコラス・ボバディリャらと共にモンマルトルの丘に登り、イエズス会創立の誓いを立てました。この誓いは、彼の人生を大きく変える転換点となりました。

初期の活動

イエズス会創立後、サルメロンは病気で一時離脱したロヨラの代わりにファーヴルの指導を受け、勉学に励みました。1536年11月に修士号を取得後、1537年1月にヴェネツィアでロヨラと再会し、その後ローマへ向かいました。ローマでは、教皇パウルス3世から祝福を受け、再びヴェネツィアに戻りました。若年であったため、他のメンバーが1537年6月24日に司祭に叙階された際、サルメロンは叙階されませんでしたが、同年のうちに司祭となりました。

ヴェネツィアでは、今後の活動方針が議論され、当初計画されていたエルサレム巡礼が困難になったため、メンバーは北イタリア各地に分かれて説教活動を行うことになりました。サルメロンはパスカーズ・ブロエと共にシエナへ派遣され、慈善事業に尽力しました。

アイルランドとトリエント公会議

1541年9月、サルメロンはブロエと共に教皇特使としてアイルランドに派遣されました。当時、イングランド王ヘンリー8世の圧迫を受けていたアイルランドのカトリック教徒を支援するためでしたが、その目的は実現しませんでした。その後、サルメロンはロヨラの指示を受け、トリエント公会議にファーヴル、ライネスと共に出席しました。ファーヴルの急逝という予期せぬ事態に見舞われましたが、1546年と1551年の2度にわたる公会議で、彼の学識と雄弁は参加者のイエズス会に対する好意を高めるのに貢献しました。

ナポリでの活動

1551年、サルメロンはナポリにイエズス会学校を設立し、1555年までその運営に携わりました。1558年にはナポリ管区長に任命され、1576年までその職を務めました。管区長として、彼はナポリの復興に尽力しました。1561年にはイエズス会総長代理にも選出され、ヨーロッパ各地を巡回しました。

晩年と遺産

サルメロンは、対抗宗教改革における有力な人物であり、16巻にも及ぶ新約聖書の注解書を著述しました（これらの著作は彼の死後に出版されました）。しかし、ナポリの状況には苦慮し、急増するイエズス会学校の増設要請に、資金と人材不足のために応じることができませんでした。彼は本部に人材派遣を求めましたが、その願いは叶いませんでした。1585年、サルメロンはナポリで69歳でその生涯を閉じました。

アルフォンソ・サルメロンは、イエズス会の創立者の一人として、その後のカトリック教会の発展に大きく貢献しました。彼の教育、神学、聖職者としての業績は、今日においても高く評価されています。

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