アルヴィーダス・サボニス

アルヴィーダス・サボニス：バスケットボール界の伝説

アルヴィーダス・ロマス・サボニス（Arvydas Romas Sabonis, 1964年12月19日 - ）は、リトアニアが生んだ、ヨーロッパバスケットボール史上最高のセンターの一人と称される名選手です。彼の息子であるドマンタス・サボニスもNBAのサクラメント・キングスで活躍しています。

プロキャリアの幕開け

1981年、16歳という若さで、当時はソビエト連邦に属していたリトアニア・ソビエト社会主義共和国のクラブチーム、ジャルギリス・カウナスでプロデビューを果たしました。1989年までの8年間で、ソビエト連邦の国内リーグで3度の優勝を経験しました。

国際舞台での活躍

1982年、17歳でソビエト連邦A代表に選出され、同年夏のコロンビアで開催された世界選手権に出場し、見事金メダルを獲得しました。翌1983年には、スペインのマヨルカ島で開催された世界ジュニア選手権にU-18ソビエト連邦代表として参加し、銀メダルを獲得。同年には、フランスで行われたユーロバスケットにソビエト連邦A代表として出場し、銅メダルを獲得しました。

1985年には、神戸で開催されたユニバーシアードで金メダルを獲得。同年、西ドイツで開催されたユーロバスケットでは金メダルを獲得し、大会MVPにも輝きました。

1986年、21歳の時にスペインで開催された世界選手権に参加し、銀メダルを獲得するとともに、大会ベスト5にも選出されました。同年秋のNBAドラフトでは、アメリカ人以外の選手としては異例の1巡目24位という高順位で指名を受けました。しかし、当時の米ソ冷戦という政治的な背景や、オリンピックのバスケットボール競技にプロ選手が出場できなかったなどの理由から、この時点でのNBA入りは実現しませんでした。

1988年のソウルオリンピックにはソ連代表として出場。準決勝でデビッド・ロビンソン率いるアメリカ代表を破り、金メダルを獲得しました。この敗戦がきっかけとなり、アメリカ代表はプロ選手で構成されたドリームチームを結成することになります。

1992年のバルセロナオリンピックでは、デビッド・ロビンソンを2回連続でブロックする場面もありました。

NBAへの挑戦

ソウル五輪後もヨーロッパでプレーを続けたサボニスでしたが、冷戦終結後の社会情勢の変化を受け、1995年にNBAのポートランド・トレイルブレイザーズに入団しました。31歳という年齢から懐疑的な目も向けられましたが、卓越したスキルと高いバスケットボールIQで数々の好プレーを見せました。NBAでの7年間で、平均12.0ポイント、7.3リバウンド、2.1アシストという記録を残し、大きなインパクトを与えました。

2001年、サボニスはトレイルブレイザーズとの契約延長を拒否し、「精神的にも肉体的にも疲れていた」と語りました。わずかな年俸でジャルギリス・カウナスと1年契約を結びチームに合流する予定でしたが、2001-02シーズンは全試合を欠場し、怪我からの回復に専念しました。その後、2002年にトレイルブレイザーズに復帰し、現役最後のシーズンを過ごしました。

プレースタイル

221cmの恵まれた体格を生かしてペイントゾーンを支配するセンターでしたが、それ以上にバスケットボール選手としての完成度が非常に高い選手として知られています。リバウンドやブロックショットといったセンターの基本的な役割に加え、3ポイントシュートも難なくこなせるシュートレンジの広さ、ノールックパスやビハインド・ザ・バック・パスを披露する高いボールハンドリング技術は、当時のセンターとしては非常に珍しいものでした。NBAでもその実力をいかんなく発揮し、ドラフト時にサボニスを低く評価していたアメリカのバスケットボール界に大きな衝撃を与えました。

サボニスの功績は、バスケットボール界におけるヨーロッパの存在感を高め、後の国際的な選手たちのNBA入りを容易にしたという点でも非常に大きいと言えるでしょう。

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