アレクサンドラ・パレス

アレクサンドラ・パレスは、イギリスの首都ロンドン北部に位置する、歴史と文化が息づく魅力的な建造物です。壮麗な宮殿と広大な展示場を兼ね備え、その歴史は19世紀半ばにまで遡ります。

1862年のロンドン万国博覧会で使用された建物の資材を再利用して建設され、1863年に当時の王太子、後のエドワード7世が、愛する妃アレクサンドラの名を冠して「アレクサンドラ・パレス」と命名しました。

しかし、1873年には大規模な火災に見舞われ、多くの被害と犠牲者（3名）を出しました。その後、再建されたアレクサンドラ・パレスは、劇場、コンサートホール、美術館、博物館、講義室、図書館、パーティルームなど、多様な施設を擁する文化複合施設として生まれ変わりました。

20世紀に入ると、アレクサンドラ・パレスはメディアの歴史においても重要な役割を果たします。1930年代には、BBCテレビの試験放送局が設置され、1936年11月2日、世界で初めてとなるテレビジョン放送がここから発信されました。その後も長年にわたり、BBCのテレビ番組の収録・生放送スタジオ、ニュース番組制作拠点、送信鉄塔とアンテナが置かれ、1969年までBBCニュース、1981年までオープン大学の番組制作の中心地として機能しました。

第二次世界大戦後も、アレクサンドラ・パレスはイベント会場として盛んに利用されています。数々の著名な音楽コンサートや授賞式が開催され、その歴史は輝かしいものがあります。例えば、ブリット・アワード（1993～95年）、MTVヨーロッパ・ミュージック・アワード（1996年）、ミス・ワールド（2002年）、NHKのど自慢 in London（2004年）などが開催されたほか、PDCワールド・ダーツ・チャンピオンシップ（2008年～）、スヌーカーのマスターズ（2012年～）、そして大規模なアンティークフェアなども定期的に開催されています。

音楽史においても重要な役割を果たしており、レッド・ツェッペリン、ウィッシュボーン・アッシュ、グレイトフル・デッド、ザ・ストーン・ローゼズ、ブラー、ポーティスヘッド、スウェード、ビョーク、フローレンス・アンド・ザ・マシーンなど、数々の伝説的なアーティストたちがここでコンサートを行い、数えきれないほどの観客を魅了してきました。

アレクサンドラ・パレスは、単なる歴史的建造物にとどまらず、ロンドン文化の象徴、そして世界放送史における重要なマイルストーンとして、今日もなお人々を惹きつけてやまない場所なのです。その広大な敷地と多様な施設は、現在も数多くのイベントやコンサート、そして様々な催し物に利用され、活気に満ち溢れています。

もう一度検索