アロハ・アイランドエアー1712便墜落事故

アロハ・アイランドエアー1712便墜落事故

1989年10月28日、ハワイのカウナカカイで発生したアロハ・アイランドエアー1712便の墜落事故は、非常に悲劇的な出来事でした。この航空事故は、アメリカ合衆国において発生した民間航空機の事故の中でも、特に多くの命が失われた事件の一つです。1712便は、カフルイ空港からモロカイ空港へ向かう途中に墜落し、乗員2名と乗客18名、合計20人が死亡しました。事故は全ての乗員乗客が命を落とす非常に痛ましいものであり、ハワイ州での民間航空機事故としては二番目に多い死者数を記録しました。

事故の翌年から、毎年10月28日にはモロカイで追悼式が行われており、地元のコミュニティが中心となって献花や灯籠流しなどの儀式が実施されています。このような活動は、事故で失われた命を悼むとともに、事故の記憶を風化させないための大切な機会となっています。

飛行の詳細

1712便に使用されていたデ・ハビランド・カナダ DHC-6-300（機体番号N707PV）は、1973年に製造されたもので、事故直前の1989年10月22日に最終検査が行われていました。この機体は総飛行時間が19,875時間に達し、30,139回のサイクルを経ていました。

搭乗者は乗員2人と乗客18人から成り、乗客の中にはモロカイ高校のバレーボールチームのメンバー8人も含まれていました。彼らはマウイでの試合を終え、帰宅中でした。機長は30歳の男性で、1987年に当社に入社し、1998年8月には機長に昇進していました。機長の総飛行時間は3,542時間で、DHC-6では1,668時間の経験を持っていました。副操縦士は27歳で、1988年に応募し、翌年に採用されました。

事故の経緯

事故当日、1712便はカフルイ空港を午後6時25分に離陸しました。到着予定時刻は午後6時50分で、予想飛行時間は25分でした。しかし、ほんの数分後の午後6時37分に、1712便はレーダーから失われ、19時30分には捜索が開始されました。捜索には沿岸警備隊のヘリコプターや航空機が投入されましたが、翌朝になって事故機の残骸がモロカイ島北東の山脈で発見されました。

遺体はカフルイ空港へヘリコプターで運ばれ、遺族へ引き渡されました。

事故調査

国家運輸安全委員会（NTSB）と連邦航空局（FAA）が調査を行った結果、事故の原因はCFIT（Controlled Flight Into Terrain）であると判断されました。機長は夜間の計器飛行の条件下でありながら、有視界飛行で操縦しており、そのために目の前の山に気づかなかったことが致命的な要因となりました。さらに、対地接近警報装置が機体に搭載されていなかったことも事故を招いた要因の一つとされました。この事故は、航空会社が急速に事業を拡大する中で、パイロットの管理や監視が不十分だったことも背景にあります。結果的には、運航の安全管理が疎かになっていたという結論が導き出されました。

この事故は、航空安全の重要性を再認識させるものであり、今後の運航における教訓として位置づけられています。

もう一度検索