アンサンブル型ステレオ

アンサンブルステレオとは

アンサンブルステレオ、または一体型ステレオは、レコードプレーヤー、アンプ、チューナー、そしてスピーカーを一つの筐体に収めたステレオセットです。1950年代の終わり頃から1960年代の中頃まで、ステレオ装置の主力として人気を博しました。セパレート型ステレオを含めて、俗に「家具調ステレオ」と呼ばれることもあります。

歴史と概要

1959年、日本ビクター（現JVCケンウッド）が「皇太子・美智子妃ご成婚記念」として発売した「STL-3」は、当時の大卒初任給が12,700円という時代に47,800円という高価格にもかかわらず、非常に高い人気を集めました。この製品が、ステレオ人気に火をつけたと言えるでしょう。

アンサンブルステレオは、コストを抑えるために、家具調の筐体にステレオスピーカー（その多くはダイポール型エンクロージャーが用いられました）、レコードプレーヤー、アンプ、チューナーを内蔵しています。これにより、それまで一部の愛好家や富裕層の趣味だったオーディオが一般家庭に普及するきっかけとなりました。また、オーディオ機器全般を指して「ステレオ」と呼ぶようになるほど、社会に浸透しました。

しかし、レコードプレーヤーとスピーカーが同じ筐体に収められているため、レイアウトの自由度が低く、ハウリングなどの問題も抱えていました。特にFM放送が開始されると、レコードの音質がFM放送に劣るというアンサンブル型の弱点が浮き彫りになりました。当時、オープンリール式テープレコーダーは一般ユーザーにあまり普及していなかったため、FM放送を録音する手段が限られていたことも、アンサンブル型の衰退を後押ししました。その後、モジュラーステレオやセパレート型ステレオ、コンポーネントステレオが登場し、アンサンブルステレオは次第に姿を消していきました。

末期には、疑似的に4チャンネルステレオに対応させたモデルや、デザインにこだわったモデルも存在しました。

現代では、CDラジカセやステレオラジカセ、一体型パーソナルCDシステム、一部のAV用サウンドバーを含むBluetooth接続のワイヤレススピーカーなど、ゼネラルオーディオ製品が、アンサンブルステレオの延長線上にあるオーディオ機器と言えるでしょう。

関連項目

オーディオマニア
レコードプレーヤー
テープレコーダー（カセットデッキ）
ミニコンポ
ラジオカセットレコーダー
セパレート型ステレオ

外部リンク

ステレオの産業史｜アンサンブル型とセパレートステレオ
コレクター天国・ステレオ - ウェイバックマシン（2004年12月14日アーカイブ分）
* 国立科学博物館 産業技術の歴史 セパレートステレオ PSC-5A - アンサンブル型ステレオは1962年当時主流だったとの記述があります。

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