アントニオ・テヘーロ

アントニオ・テヘーロ・モリーナの生涯

アントニオ・テヘーロ・モリーナは、1932年にスペインのマラガで生まれました。彼のキャリアは1951年に始まり、グアルディア・シビル（治安警備隊）に入隊しました。彼はその後、次第に昇進を重ね、中尉から始まり、大尉、少佐と昇進していきます。特に1963年には少佐に昇進し、バダホスやラス・パルマス・デ・グラン・カナリアなどの地域で勤務しました。

1974年には中佐に昇進し、バスク州ギプスコア県でグアルディア・シビルの指揮官に任命されました。彼のこの任務は、バスク地方におけるETA（バスク祖国と自由）の掃討作戦に重要な役割を果たしました。しかし、彼はバスク州旗イクリニャに関する発言で批判され、解任を求める騒動が巻き起こりました。

軍部右派の動き

1975年11月、フランシスコ・フランコの死を受けて、スペインでは王政復古が進行しました。これにより、スペインの政治風潮は急激に変わり、1976年にはアドルフォ・スアレスが首相に就任し、国家の民主化が進むこととなりました。しかし、これを「左傾化」と見なした軍部右派は、再び軍事独裁の復活を求めました。

そんな中、1978年11月、テヘーロは中佐に昇進し、他の若手軍人と共にスアレス政権に対するクーデター計画、名称を「ガラクシア計画」とすることを決定しました。この計画の名前は、マドリードの集会場所として使われていた喫茶店に由来しています。ところが、計画が漏洩したため、テヘーロは軍法裁判で7か月の禁固刑を受けることになりました。

1981年のクーデター23-F

その後、1981年2月23日、軍部右派の同調者たちがクーデターを計画します。元々は、陸軍副参謀総長のアルフォンソ・アルマダと大将ミランス・デル・ボッシュが中心となり、テヘーロをその実行部隊のリーダーに据えました。テヘーロは、約200人の治安警備隊員を率いて代議院に押し込み、スアレス首相を含む約350人の議員を人質に取りました。

また、ボッシュはバレンシア市に戦車部隊を展開し、マドリードの国営テレビ局も占拠するなど、クーデターの様相を呈しました。しかしながら、ファン・カルロス1世の支持を失ったことで、計画は失敗に終わりました。テヘーロとその同僚たちは警察に投降し、後に軍法裁判で有罪となりました。

釈放とその後

テヘーロはアルカラ・デ・エナーレスの刑務所に入れられましたが、彼は1982年の選挙に立候補し、再び注目を集めました。1996年にはようやく釈放され、故郷のマラガに戻りました。その後も彼は政治的な発言を続け、2006年にはカタルーニャ自治憲章に関する意見を新聞に発表しています。

2009年には息子が父を擁護する記事を発表し、テヘーロは「誠実で宗教的な人物」として描かれました。彼の人生は、スペインの現代史や軍事政権の動きと密接に関連しており、今もなお興味深い研究対象となっています。

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