アントワーヌとコレット/二十歳の恋

アントワーヌとコレット：フランソワ・トリュフォーが描く、17歳の恋

『アントワーヌとコレット』（フランス語: Antoine et Colette）は、1962年にフランソワ・トリュフォーが監督した短編映画です。国際オムニバス映画『二十歳の恋』のフランスパートとして制作され、「アントワーヌ・ドワネルの冒険」シリーズの第2作にあたります。

概要

前作『大人は判ってくれない』から3年後、17歳になったアントワーヌ・ドワネルの姿を描いています。当初、トリュフォー監督はシリーズ作品に乗り気ではありませんでしたが、撮影が進むにつれて構想が膨らみ、シリーズ化を決意したと言われています。

ストーリー

アントワーヌは非行から立ち直り、レコード店で働くようになりました。ある夜、クラシックコンサートでコレットという美しい少女に出会い、恋に落ちます。彼女に近づくため、コレット一家が住むアパートの向かいに引っ越しますが、アントワーヌの想いとは裏腹に、コレットは彼を友人としてしか見てくれませんでした。

キャスト

アントワーヌ・ドワネル：ジャン＝ピエール・レオ
コレット：マリー＝フランス・ピジエ
ルネ・ビジェー：パトリック・オーフェー
コレットの母：ロジー・ヴァルト
コレットの父：フランソワ・ダルボン
アルベール・タッツィ：ジャン＝フランソワ・アダン
* ナレーション：アンリ・セール

解説

この映画のストーリーは、トリュフォー監督自身の体験に基づいています。映画に登場するコレットという名前は仮名で、実際にはリリアーヌという女性がモデルでした。「リリアーヌ」という名前は、トリュフォー監督の他の作品『アメリカの夜』や『逃げ去る恋』にも登場します。

アントワーヌの部屋には、『大人は判ってくれない』の日本初公開時のポスターの複製写真が飾られています。このポスターは、トリュフォー監督が1962年に来日した際、野口久光から贈られたものです。

アントワーヌが働くレコード店では、ジャンヌ・モローの歌声が聞こえてきます。また、コレット役を演じたマリー＝フランス・ピジエは、当時パリ大学の法学部に在籍していましたが、17年後の『逃げ去る恋』では弁護士役で再び登場しています。

評価と影響

『アントワーヌとコレット』は、思春期の繊細な感情と、初恋のほろ苦さを描いた作品として評価されています。トリュフォー監督の自伝的な要素が強く反映されており、彼の人間性と映画に対する情熱が感じられます。

この作品は、後のヌーヴェルヴァーグの映画監督たちに大きな影響を与え、青春映画の新たな可能性を切り開きました。また、ジャン＝ピエール・レオ演じるアントワーヌ・ドワネルは、トリュフォー監督の分身として、映画史に残るキャラクターとなりました。

まとめ

『アントワーヌとコレット』は、フランソワ・トリュフォー監督が自身の体験をもとに描いた、初恋の物語です。17歳のアントワーヌの恋を通して、思春期の心の揺れ動きや、大人への成長を描き出しています。ぜひ、この作品を通して、トリュフォー監督の映画の世界に触れてみてください。

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