アンドレア・ドーリア級駆逐艦

アンドレア・ドーリア級駆逐艦

アンドレア・ドーリア級駆逐艦（イタリア語: Cacciatorpediniere Lanciamissili classe Andrea Doria）は、イタリア海軍のミサイル駆逐艦の艦級で、フランスとイギリスが共同で進めたホライズン計画に基づいて開発されています。この艦級は、現代戦における多様な任務に対応するために設計された先進的な艦艇です。

来歴

アンドレア・ドーリア級の開発は、1980年代後半に遡ります。当時、NATOに加盟している8カ国の海軍は、国際共同開発計画であるNFR-90構想に基づき、フリゲートの開発を進めていました。しかし、この計画は、各国の要求が異なることから1989年にはイギリス、フランス、イタリアの各国が次々に離脱することとなります。その後、残りの5カ国は計画を続けようと試みましたが、1990年に最終的にキャンセルされました。

NFR-90計画からの離脱後も、イギリスとフランスは独自に次期防空艦の開発を進め、1990年に英国とフランスが協力してA3F（英仏将来フリゲート）計画が始まりました。1992年にはイタリアも加わり、ホライズン計画が始動します。この計画では、PAAMSという対空武器システムを共同開発し、それを共通設計の船体に搭載することが計画されました。各国は、自国の要求に応じて細部の武装を調整することが可能で、この構想に従ってアンドレア・ドーリア級駆逐艦が建造されることとなりました。

設計

アンドレア・ドーリア級の設計は、ダメージコントロールを考慮し、船体を長船首楼型に採用しています。内部は4つの大区画と24の小区画に分かれており、居住性にも配慮されています。また、230名までの乗員が搭乗可能で、15パーセントは女性乗員を受け入れることができます。

技術的な面では、当初計画されていたCODLAG方式からCODOG方式へと変更されています。この変更により、信頼性が向上し、艦艇の運用能力が高まりました。アンドレア・ドーリア級は、ディーゼルエンジンとガスタービンを組み合わせており、高速航行と巡航の両方に対応することができます。また、バウスラスターやフィンスタビライザーを備えており、操艦性の向上にも寄与しています。

装備

この艦級の中核的なセンサーとなるのはMM/SPY-790（EMPAR）多機能レーダーであり、早期警戒レーダーや対水上捜索用のレーダーも搭載されるなど、先進的なセンサーが組み込まれています。そして、戦術情報処理装置（CMS）や通信システムも整備されており、現代戦における情報戦にも対応可能です。

武器システムに関しては、PAAMSを艦に搭載し、その中にはアスター艦対空ミサイルが装備されています。これにより、長射程と中射程両方の対空ミサイルを効果的に運用することができます。また、近接防御のための艦砲や対艦ミサイル、対潜用の魚雷発射管も備えており、様々な脅威に対する防護能力を有しています。

同型艦

イタリア海軍では、アンドレア・ドーリア級の建造数として当初6隻を計画していましたが、予算の都合から最終的には2隻に縮小されてしまいました。これは湾岸危機に起因する禁輸措置が影響し、資金を他の艦艇に振り向ける必要があったためです。

アンドレア・ドーリア級は、イタリア海軍における防空の主力艦として重要な役割を果たしており、今後の展開が期待されます。

もう一度検索