ミカエル9世パレオロゴス

ミカエル9世パレオロゴスは、1277年4月17日に生まれ、1320年10月12日に亡くなった東ローマ帝国パレオロゴス王朝の皇帝です。彼は、同王朝第2代皇帝アンドロニコス2世パレオロゴスの子であり、共同皇帝として帝国を統治しました。また、第4代皇帝アンドロニコス3世パレオロゴスの父でもあります。

1294年、ミカエル9世は父アンドロニコス2世から後継者として指名され、共同皇帝に任命されました。アンドロニコス2世は、後継者問題に対処するために息子を共同皇帝に据えましたが、これは結果として帝国を安定させるための有効な手段となりました。しかし、ミカエル9世の息子アンドロニコスは、祖父であるアンドロニコス2世と意見が合わず、次第に対立を深めていくことになります。その対立はエスカレートし、アンドロニコスが祖父の暗殺を企てるまでに至りました。さらに、アンドロニコスは恋敵を排除しようとして、誤って自身の弟マヌエルを殺害するという痛ましい事件を引き起こしてしまいます。

息子の度重なる不祥事にミカエル9世は大きなショックを受け、心身ともに衰弱していきました。そして、父アンドロニコス2世に先立ち、1320年に44歳で病没しました。ミカエル9世の生涯は、息子アンドロニコスによって翻弄された悲劇的なものであったと言えるでしょう。

ミカエル9世は、キリキア・アルメニア王国の王レオーン3世の娘リタ（後にマリアと改名）と結婚し、4人の子供をもうけました。その子供たちは以下の通りです。

アンドロニコス3世（1297年 - 1341年） - 東ローマ皇帝（1328年 - 1341年）
マヌエル
アンナ - エピロス専制公トーマース・ドゥーカスと結婚。その後、専制公ニコーラ・オルシーニと再婚。
テオドラ - ブルガリア皇帝テオドル・スヴェトスラフと結婚。その後、ブルガリア皇帝ミハイル3世シシュマンと再婚。

ミカエル9世の生涯は、皇帝としての責任と、家族間の不和という二つの重荷を背負いながら過ごしたものでした。彼の死後、帝国はアンドロニコス3世によって引き継がれましたが、彼の時代もまた多くの困難に直面することになります。ミカエル9世の生涯は、パレオロゴス王朝の複雑な人間関係と、その中で繰り広げられた権力闘争を象徴する出来事として、歴史に刻まれています。彼の治世は、共同皇帝としての役割を果たす一方で、息子の不祥事によって苦悩する父親としての側面も持ち合わせていました。ミカエル9世の人生は、権力と家族、そして人間の弱さという普遍的なテーマを私たちに問いかけています。

もう一度検索