アンドロメダー

アンドロメダ：ギリシア神話の悲劇と救済の物語

アンドロメダ（Ἀνδρομέδα, Andromedā または Ἀνδρομέδη, Andromedē）は、ギリシア神話に登場するエチオピア王ケーペウスと王妃カッシオペイアの娘であり、その美しさゆえに数奇な運命を辿った王女です。彼女の名前は、長母音を省略してアンドロメダと表記されることもあります。

神話におけるアンドロメダ

アンドロメダの物語は、母カッシオペイアの傲慢さから始まります。カッシオペイアは自身の美しさを神々に勝ると豪語したため、神々の怒りを買い、その罰としてアンドロメダは海の怪物ケートスの生贄に捧げられることになりました。彼女は海岸の岩に鎖で縛られ、まさに怪物に喰われる寸前でした。

そこに現れたのが、英雄ペルセウスです。彼はゴルゴーン三姉妹の一人であるメドゥーサを退治し、その首を携えていました。アンドロメダの悲劇的な姿を目にしたペルセウスは、メドゥーサの首を怪物に見せることで石に変え、アンドロメダを救い出しました。その後、アンドロメダはペルセウスの妻となり、彼との間に多くの子をもうけ、ペルシア王家の祖となったと伝えられています。

救出後、アンドロメダはアテーナーによって天に上げられ、星座となりました。

アンドロメダの系図

アンドロメダは、ペルセウスとの間に以下の子供たちをもうけました。

ペルセウス（ペルセース）
アルカイオス
ステネロス
ヘレイオス
メーストール
エーレクトリュオーン
ゴルゴポネー

文化的な影響

アンドロメダの物語は、日本や欧米で広く知られており、様々な形で芸術作品に影響を与えています。特に、彼女が生け贄にされようとしている姿を描いた絵画は多く残されており、その悲劇的な美しさを伝えています。また、アントニオ・ヴィヴァルディは「救われたアンドロメダ」というセレナータを作曲しています。

アンドロメダの姿については、裸体で岩に縛られているという設定と、衣服を身に着けているという設定があります。名画では裸体で描かれることが多い一方、映画や星座物語などでは衣服を身に着けている姿で描かれることが多いです。また、アンドロメダが白人の姿で描かれることが多いですが、エチオピア王国の王女であることから、本来は黒人であるとする説が有力です。しかし、古代ギリシャの文献では、アンドロメダが白い衣服を身につけたギリシャ系の姫として描かれている場合もあります。

アンドロメダ型神話

アンドロメダの物語は、英雄が怪物を倒して女性を救出するという神話の典型例であり、「アンドロメダ型神話」または「ペルセウス型神話」とも呼ばれます。このタイプの物語は、世界各地の神話や伝説に見られます。

例:

聖ゲオルギオスのドラゴンの奇跡（イギリス）
スサノオのヤマタノオロチ退治（日本）
ルドヴィーコ・アリオストの叙事詩『狂えるオルランド』における「アンジェリカを救うルッジェーロ」の逸話


アンドロメダの物語は、古代から現代まで、多くの人々に影響を与え続けている魅力的な神話の一つです。

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