ゴルゴポネー

ゴルゴポネー（古希: Γοργοφόνη, Gorgophonē）は、ギリシア神話に登場する女性の名前で、「ゴルゴーン殺し」を意味する「ゴルゴポノス」の女性形です。長母音を省略してゴルゴポネとも表記されます。

神話には主に二人のゴルゴポネーが登場します。一人は英雄ペルセウスの娘、もう一人はアルゴス王ダナオスの娘として知られています。それぞれ異なる背景と物語を持っており、以下に詳細を説明します。

ダナオスの娘としてのゴルゴポネー

このゴルゴポネーは、アルゴス王ダナオスの50人の娘、通称ダナイデスの一人です。母親はエレパンティスで、ヒュペルムネーストラーとは姉妹の関係にあります。彼女は、エジプト王アイギュプトスとアルギュピエーの息子であるプローテウスと結婚しましたが、他のダナイデスの娘たちと同様に、父親であるダナオスの命に従い、結婚相手を殺害するという悲劇を経験します。

ペルセウスの娘としてのゴルゴポネー

このゴルゴポネーは、英雄ペルセウスとアンドロメダーの間に生まれた娘です。兄弟には、アルカイオス、ステネロス、ヘレイオス、メーストール、エーレクトリュオーンがいます。彼女はペリエーレースと結婚し、テュンダレオース、イーカリオス、アパレウス、レウキッポスの母となりました。

パウサニアースの記述によると、ゴルゴポネーはギリシアで最初に再婚をした女性とされています。ペリエーレースの死後、スパルタ王オイバロスと再婚しました。彼女が産んだ子供たちの中には、ペリエーレースを父とするアパレウスとレウキッポス、オイバロスを父とするテュンダレオースとイーカリオスがいるとされています。しかし、テュンダレオース、イーカリオス、ヒッポコオーンはオイバロスとバテイアの子であるという説も存在します。パウサニアースは、彼女がオイバロスとの間に生んだ男子はテュンダレオース1人であり、アパレウスと結婚した娘アレーネーがいたとも記述しています。

また、彼女の墓はアルゴス市内のゴルゴーンの墓の近くに存在していたと伝えられています。

系図

（詳細な系図は、参考文献をご参照ください。）

脚注

（この項目は、参考文献リストを参照してください。）

参考文献

アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫（1953年）
パウサニアス『ギリシア案内記（下）』馬場恵二訳、岩波文庫（1992年）
* 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店（1960年）

これらの文献は、ゴルゴポネーに関するより詳細な情報を提供しています。特にパウサニアスの記述は、彼女がギリシア神話における重要な人物であったことを示唆しています。彼女の複雑な家族関係と、再婚という異例の行動は、当時の社会観や価値観を反映していると言えるでしょう。

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