アーガス (A135)

アーガス (RFA Argus)

アーガスは、イギリス海軍が運用する航空支援艦であり、最初は航空練習艦として就役しましたが、2009年には傷病兵収容艦に変わりました。艦名はギリシャ神話のアルゴスに由来しています。

来歴

アーガスは元々、イタリアのCNRブレダ社が建造したRO-ROコンテナ船「コンテンダー・ベザント」が前身です。この船は1982年からイギリス政府によりチャーターされ、フォークランド紛争において航空機輸送船として利用されました。この紛争中に、イギリス海軍はヘリコプター母艦の必要性を認識し、アメリカで開発中のアラパホ・システムに目を向けました。1982年にはこのシステムを借用する契約を結び、1983年には航空支援艦「リライアント」として再就役させました。

「リライアント」はレバノン内戦で多国籍軍の支援任務に参加し、その活躍から民間船改造の航空支援艦の有用性が証明されました。これを受けて、1984年に「コンテンダー・ベザント」を1800万ポンドで購入し、さらなる4500万ポンドを投じて航空支援艦に改造、アーガスと改名されました。改造はハーランド・アンド・ウルフ社によって行われ、その総コストはインヴィンシブル級航空母艦の建造費の17パーセントに相当します。

設計

アーガスの改造においては、特に航空運用能力の向上が重視されました。元々左右に分かれていた煙突は右舷側に統合され、ガントリークレーンが撤去されることで、艦尾甲板には広大な113.52メートル×28メートルのヘリコプター甲板が設けられました。しかし、煙突による乱流の影響でヘリコプターの運用に障害が生じる場合もありました。また、改造によって搭載量が減少し、吃水が浅くなることが懸念されたため、艦尾甲板にはコンクリート（1800トン）と鉄板が敷かれ、艦の安定性が確保されました。

車両甲板は1層のハンガーに改装され、シーハリアー8機とシーキング3機を収納可能です。ヘリコプター甲板とハンガーは、新設されたエレベーターでつながれており、そのうちの一つは傷病者の移送用としても利用されます。また病院船としての機能も強化され、手術室や集中治療室が設けられ、兵士や民間人の医療支援にも対応しています。2013年には、最新の医療機器を搭載するなど、医療機能はさらに充実しています。

艦歴

アーガスは1987年に仮受領され、1988年に正式に引き渡されました。この艦は陸上部隊の支援に頻繁に利用され、湾岸戦争やボスニア、日本のペルシア湾での任務に派遣されています。また、2014年には西アフリカでのエボラ出血熱流行に対する人道支援のため、シエラレオネに派遣され、大きな役割を果たしました。

登場作品

アーガスは映画『ワールド・ウォーZ』にも登場し、世界的なストーリーの中で国連の指揮艦として描かれています。このように、多様な任務に対応するアーガスは、イギリス海軍にとって欠かせない艦艇となっています。

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