アーゾロ

アーゾロ（Asolo）は、イタリア共和国ヴェネト州トレヴィーゾ県に位置する、人口約8,900人のコムーネ（基礎自治体）です。この地は、その歴史的な背景と美しい景観から、多くの人々を魅了してきました。

名称

日本語文献では「アソロ」とも表記されます。

地理

アーゾロは、トレヴィーゾ県の西部に位置しています。県都トレヴィーゾからは西北西へ約30km、ヴィチェンツァからは北東へ約41km、州都ヴェネツィアからは北西へ約51kmの距離にあります。周辺は、カステルクッコ、モンフーモ、マゼール、アルティーヴォレ、リエーゼ・ピオ・デーチモ、フォンテ、ピエーヴェ・デル・グラッパといったコムーネに囲まれています。気候は温暖で、気候分類ではzona E, 2662 GGに分類されます。また、地震リスクはzona 2（中程度の地震リスク）に分類されています。

歴史

アーゾロの歴史は古く、古代にはウェネティ人の集落として始まりました。プリニウスの著作には「Acelum」として言及されています。6世紀後半には「Acelina」という名で呼ばれ、9世紀前半には「Asolensis」という地名が使われるようになったと考えられています。9世紀には、マジャール人の侵攻により一時的に衰退しましたが、その後復興しました。中世初期には、エッツェリーノ家の所領となり、15世紀にはキプロス女王カタリーナ・コルナーロが統治権をヴェネツィア共和国に譲渡するのと引き換えにこの地を与えられ、宮廷を置きました。この時代、アーゾロはルネサンス文化の中心地として栄え、多くの芸術家や知識人が集まりました。しかし、16世紀初頭にカンブレー同盟によって占領・略奪され、女王カテリーナはヴェネツィアに亡命しました。18世紀には、カテリーナ・コルナーロの城のホールが改修され、アーゾロ劇場が設立されましたが、この劇場は後にアメリカに渡り、現在はフロリダ州で利用されています。また、英国の詩人ロバート・ブラウニング、女優エレオノーラ・ドゥーゼ、探検家フレヤ・スタークなど、多くの著名人もこの町で生活しました。

行政

アーゾロには、以下の分離集落（フラツィオーネ）があります。

Casella Sant'Apollinare
Pagnano
Villa d'Asolo

社会

レーシングスーツメーカーのアルパインスターズが本社を置いています。

文化・観光

アーゾロは、「イタリアの最も美しい村」クラブに加盟しており、その美しい景観と歴史的建造物が観光客を魅了しています。特に、19世紀の英国の詩人ロバート・ブラウニングが居住し、代表作である劇詩「ピッパが通る」の舞台となったことで有名です。「ピッパが通る」の一節「神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し」は、日本でも広く知られています。

ゆかりの人物

アーゾロは、以下のような著名な人物と深い関わりがあります。

カタリーナ・コルナーロ：キプロス女王。退位後、この地の領主となった。
ピエトロ・ベンボ：ルネサンス期の詩人・人文学者、枢機卿。
ロバート・ブラウニング：19世紀イギリスの詩人。当地に居住した。
エレオノーラ・ドゥーゼ：19-20世紀の女優。当地に居住した。
ジャン・フランチェスコ・マリピエロ：作曲家・音楽学者。当地に居住した。
* フレヤ・スターク：20世紀の探検家、旅行作家、東洋学者。

アーゾロは、歴史、文化、自然が調和した魅力的な町であり、多くの人々に愛されています。

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