アーツアンドレターズ

アーツアンドレターズ：マジェスティックプリンスを破り、栄光を掴んだサラブレッド

アーツアンドレターズ（Arts and Letters、1966年 - 1998年）は、アメリカ合衆国で活躍したサラブレッド競走馬にして、後に種牡馬としても成功を収めた名馬です。1969年のアメリカ競馬界を席巻し、その年の年度代表馬に選出されるなど、数々の輝かしい実績を残しました。1994年にはアメリカ競馬殿堂入りを果たし、その名声は現在も語り継がれています。

華々しいデビューからクラシック戦線へ

アーツアンドレターズは、アメリカのオーナーブリーダーであるポール・メロンによって生産されました。J. エリオット・バーチ調教師の指導の下、1968年にデビュー。2歳時は6戦2勝と目立った活躍はできませんでしたが、翌3歳シーズンにその真価を発揮します。ハイアリアパーク競馬場で行われたエバーグレードステークスで、前年の最優秀2歳牡馬トップナイトを破り、一躍クラシック路線の有力馬へと躍り出ました。その後も、フラミンゴステークスやフロリダダービーでトップナイトと対戦しますが、惜しくも2着に終わります。

ケンタッキーダービー、そしてマジェスティックプリンスとの激闘

1969年のケンタッキーダービーは、強豪馬が集う激戦となりました。前走ブルーグラスステークスで圧勝したアーツアンドレターズも、4番人気とやや低評価に甘んじるほどの激戦。実際、多くの有力馬が回避し、8頭立てという少頭数での開催となりました。レースでは終盤まで先頭に立ちましたが、最後はマジェスティックプリンスにクビ差で敗れ、初戴冠はなりませんでした。続くプリークネスステークスでもアタマ差でマジェスティックプリンスに敗れ、マジェスティックプリンスの三冠達成の大きなチャンスを与えてしまう形となります。

ベルモントステークスでの雪辱、そして三冠阻止

ベルモントステークスを前に、アーツアンドレターズ陣営はメトロポリタンハンデキャップに参戦。古馬との対戦を経験し、そこで勝利を収めて勢いに乗って臨みました。そして迎えたベルモントステークス、3度目の対戦となったこのレースで、アーツアンドレターズはマジェスティックプリンスに5馬身半差の大差をつけて圧勝。世間の期待を集めたマジェスティックプリンスの無敗の三冠を阻止するという快挙を成し遂げました。このレース後、マジェスティックプリンスは故障により引退することとなります。

年度代表馬への栄光、そして引退

ベルモントステークスでの勝利を皮切りに、アーツアンドレターズはトラヴァーズステークスやジョッキークラブゴールドカップでも圧勝劇を繰り返し、1969年の年度代表馬に選出。しかし、翌1970年、カリフォルニアンステークス出走中に故障が発生し、現役を引退することとなりました。

種牡馬としての成功とその後

引退後はグリーンツリーファームで種牡馬として繋養され、1980年のプリークネスステークス勝ち馬コーデックスなど、多くの優秀な産駒を残しました。1998年に32歳で亡くなり、2000年にその訃報が伝えられました。遺骸はグリーンツリーファーム（現在のゲインズウェイファーム）に埋葬されています。

アーツアンドレターズの功績と評価

アーツアンドレターズは、その卓越した能力と幾多の激戦を制した経験から、アメリカ競馬史に名を残す名馬として高い評価を得ています。1994年にはアメリカ[[競馬名誉の殿堂博物館]]入りを果たし、1999年にはブラッド・ホース誌の選ぶ20世紀のアメリカ名馬100選において第67位にランクイン。その偉業は、多くの競馬ファンに今も記憶されています。

主な勝鞍
ベルモントステークス
ブルーグラスステークス
ジョッキークラブゴールドカップ
ウッドワードステークス
メトロポリタンハンデキャップ
ジムダンディステークス
エバーグレードステークス

主な表彰
1969年：年度代表馬、最優秀3歳牡馬、最優秀ハンデキャップ牡馬
* 1994年：アメリカ[[競馬名誉の殿堂博物館]]殿堂入り

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