マジェスティックプリンス

マジェスティックプリンス：伝説的名馬の栄光と挫折

マジェスティックプリンス (1966年-1981年) は、アメリカ合衆国で活躍したサラブレッド競走馬にして種牡馬です。類まれな才能と人気を誇り、ケンタッキーダービーとプリークネスステークスを制して無敗でクラシック二冠を達成したものの、ベルモントステークスでの敗北が、アメリカ競馬史に名を残す不世出の三冠馬への道を阻みました。

華麗なるデビューとクラシック戦線

1967年、キーンランド[[競馬場]]のイヤリングセールにおいて、当時最高額となる25万ドルで競り落とされたマジェスティックプリンス。アルバータ州出身の石油商フランク・マクマホン氏によって、同じくアルバータ州出身で、長年の付き合いのあった名調教師ジョニー・ロングデン氏に預けられました。

1968年の2歳シーズンは2戦2勝と順調に歩を進め、翌1969年の3歳シーズンではサンタアニタダービーやサンヴィンセントステークスを制し、クラシック戦線での西海岸最強候補として注目を集めました。

ケンタッキーダービー制覇とプリークネスステークス勝利

1969年のケンタッキーダービーには、前年の最優秀2歳牡馬トップナイトなど、強豪が顔を揃えました。マジェスティックプリンスは2番人気に推され、レースでは後方からレースを進め、最後の直線でアーツアンドレターズをクビ差で差し切り、優勝を飾りました。無敗でのケンタッキーダービー制覇は、1922年のモーヴィッチ以来47年ぶりの快挙でした。

続くプリークネスステークスでも、再びアーツアンドレターズとの接戦を制し、無敗でアメリカ三冠への期待が高まりました。しかし、この勝利の翌朝、衝撃的な発表がなされます。

ベルモントステークスの敗北と三冠への夢破れる

ロングデン調教師は記者会見で、マジェスティックプリンスの右前脚の腱に異常が見つかったと発表。ベルモントステークスへの出走は難しいとしながらも、最終的には出走を決断しました。オーナーであるマクマホン氏の「We want a Triple Crown, not a Crippled Crown.」という言葉は、三冠への執念と、メディアや世間の期待の大きさを象徴的に表しています。

しかし、ベルモントステークスではアーツアンドレターズに5馬身半の大差をつけられて2着に敗れました。レース後、騎手や調教師は馬の故障を悔やみ、出走を決断したことを後悔するコメントを残しました。

種牡馬としての成功とその後

ベルモントステークスの敗北後、マジェスティックプリンスは引退。ケンタッキー州レキシントンのスタンドスリフトファームで種牡馬として活躍し、33頭のステークス勝ち馬を輩出しました。その血統は現代にも受け継がれ、4代後の後裔がケンタッキーダービーを制覇するなど、その影響力の大きさを示しています。1981年、心臓麻痺のため15歳でこの世を去りました。

アメリカ競馬史に刻まれた功績

マジェスティックプリンスは、無敗のクラシック二冠という偉業に加え、ジョニー・ロングデン調教師が騎手と調教師の両方でケンタッキーダービーを制覇するという快挙を成し遂げた馬としても知られています。

1988年にはアメリカ競馬殿堂入りを果たし、1999年にはブラッド・ホース誌の選ぶ20世紀のアメリカ名馬100選で第46位にランクインするなど、その功績はアメリカ競馬史に深く刻まれています。彼の物語は、競走馬としての栄光と挫折、そして種牡馬としての成功と、多くの競馬ファンに感動と興奮を与え続けています。

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