アーニー・デービス

アーニー・デービス：早逝の天才フットボール選手

アーニー・デービス（Ernie Davis、1939年12月14日 - 1963年5月18日）は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州ニューセーラム出身のアメリカンフットボール選手であり、アフリカ系アメリカ人として初めてハイズマン賞を受賞した人物として知られています。

大学時代：シラキュース大学での輝かしい活躍

デービスはシラキュース大学で1959年から1961年までの3年間プレーし、その才能を開花させました。彼は3年連続でチームのリーディングラッシャーとなり、ジム・ブラウンが作ったラッシング記録2,386ヤードを更新。オールパーパスヤードでは3,414ヤードを獲得し、220得点、35タッチダウンを記録しました。1959年にはコットンボウルでテキサス大学を破り全米チャンピオンに輝き、自身もMVPに選出。1961年のリバティボウルでもMVPを獲得しています。

しかし、大学時代には人種差別も経験しました。コットンボウルでアメリカ南部を訪れた際、黒人であることを理由に試合後の宴会に招待されなかったのです。チームメイトの白人選手の中にはボイコットを試みる者もいましたが、大学当局によって阻止されました。1961年、デービスはカレッジフットボールで最も栄誉ある賞であるハイズマン賞を、アフリカ系アメリカ人として初めて受賞。大学時代を通して、偉大なジム・ブラウンと同じ44番をつけてプレーしました。2005年11月12日、シラキュース大学は彼の44番を永久欠番としています。

NFL入りと悲劇

1961年12月4日のNFLドラフトで、デービスはアフリカ系アメリカ人として初めて全体1位でワシントン・レッドスキンズに指名されました。しかし、彼はすぐにクリーブランド・ブラウンズにトレードされます。ブラウンズはデービスをハーブバックとして起用し、ジム・ブラウンとの併用を期待していました。ところが、カレッジオールスターゲームに出場するための準備期間中に、彼は白血病と診断されてしまいます。1962年夏に急性骨髄性白血病と診断され、治療に専念することとなりました。彼は1試合だけクリーブランド・スタジアムで行われたプレシーズンゲームに姿を現しましたが、NFLの試合に出場することなく、1963年5月18日に23歳という若さで亡くなりました。彼の死後、ブラウンズは彼の背番号45番を永久欠番としています。

死後の世界

デービスの死は、アメリカ社会に大きな衝撃を与えました。アメリカ上下両院は彼を称え、ニューヨーク州エルマイラで行われた葬儀には1万人を超える弔問客が訪れました。葬儀ではジョン・F・ケネディ大統領からの弔辞が読み上げられ、彼はマーク・トウェインも眠るエルマイラの墓地に埋葬されました。

遺産

アーニー・デービスは、その短い生涯の中で、フットボール選手としてだけでなく、人種差別に立ち向かう勇気ある人物として、多くの人々に感動を与えました。彼の生涯を描いたノンフィクションを元にした映画『The Express』が2008年に公開され、彼の功績は広く知られることとなりました。彼は1979年にカレッジフットボール殿堂入りを果たしています。アーニー・デービスは、アメリカンフットボールの歴史に名を刻む、永遠のヒーローなのです。

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