アールグレイ

アールグレイとは

アールグレイは、ベルガモットで柑橘系の香りをつけた紅茶で、フレーバーティーの一種です。キーマン茶（祁門茶）をベースにすることが多いですが、茶葉のブレンドに決まりはなく、セイロン茶や、中国[[茶]]とセイロン茶のブレンド、ダージリンなどが使われることもあります。

“Earl Grey” は「グレイ[[伯爵]]」という意味で、第2代グレイ[[伯爵]]チャールズ・グレイ（1830年代のイギリス首相）に由来すると言われています。

アールグレイの販売会社としては、トワイニング社やフォートナム&メイソン社が有名です。

特徴

アールグレイの最大の特徴は、ベルガモットの落ち着いた香りです。ベルガモットの香りは、精油や香料でつけられます。

茶葉の香気成分は冷やすと控えめになりますが、人工的に香りをつけたアールグレイは、アイスティーにしても比較的香りが分かりやすいです。一方で、ベルガモットの香りは温度が高いほど引き立つため、ホットティーにすると、人によっては香りが強すぎて飲みにくく感じることもあります。

また、ベルガモットの香りはミルクとの相性が良く、ミルクティーとしてもよく飲まれます。

由来

アールグレイの名前の由来には諸説あります。

グレイ伯が外交官から中国の着香茶を贈られ、気に入って茶商に作らせた。
グレイ伯が中国に赴任した際、自ら考案した。
グレイ伯の部下が中国で高級官僚の息子を助け、そのお礼として製法を教わった。
グレイ伯の部下が虎に襲われたマハラジャの息子を助け、そのお礼として製法を教わった。
* グレイ伯が気に入った香港の紅茶の味を、ベルガモットで再現した。

しかし、グレイ伯はインドにも中国にも赴任したことがなく、当時中国やインドにはベルガモットで着香する習慣がなかったため、これらの説は事実ではない可能性が高いです。

ベルガモットで着香した紅茶は、少なくとも1820年代には存在しており、高価な中国[[茶]]の模倣として着香されていました。このようなベルガモットの紅茶が、いつ、どのようにして「アールグレイ」と呼ばれるようになったのかは不明です。

2013年の『オックスフォード[[英語辞典]]』のレポートでは、アールグレイの名が文献に初めて登場した時期から推測して、第3代グレイ[[伯爵]]ヘンリー・グレイが関係している可能性が指摘されました。また、アールグレイという名前は、グレイ伯とは直接関係なく、当時流行していた「Grey」という名前の紅茶に、爵位の「Earl」を付けただけかもしれないという説もあります。

いずれにしても、年代や当時のベルガモット着香紅茶の状況から考えると、第2代グレイ[[伯爵]]がアールグレイの開発を支援した可能性は低いと考えられています。

紅茶研究家の磯淵猛は、グレイ伯が正山小種（ラプサン・スーチョン）を気に入り、それを模して作らせたのがアールグレイであるという説を提唱しています。磯淵によれば、現在のラプサン・スーチョンは正露丸のような香りですが、それはイギリス人の好みに合わせて作られたもので、本来のラプサン・スーチョンは龍眼の香りがする紅茶でした。龍眼はイギリスでは手に入らないため、アールグレイにはシチリア産のベルガモットで着香したとされています。

グレイ伯がアールグレイの開発を命じたとされる茶商をめぐって、ジャクソン社とトワイニング社が元祖争いを起こしたことがあります。ジャクソン社は、第2代グレイ[[伯爵]]の出入り商人の店を吸収したと主張し、トワイニング社は、歴代のグレイ伯と親交があり、第5代グレイ[[伯爵]]がトワイニングを元祖として認めていると主張しました。1990年頃、ジャクソン社はトワイニングに合併し、元祖争いは終結しました。

その他

トワイニング社が販売しているレディグレイは、ベルガモットに加えて、オレンジピール、レモンピール、ヤグルマギクの花弁で着香した紅茶です。

アールグレイには、シトクロムP450 (CYP3A4) 阻害作用を持つベルガモチンが含まれています。そのため、医薬品によっては相互作用が生じる場合があります。

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