イウカの戦い

イウカの戦い：南北戦争における戦略的要衝での激戦

イウカの戦い（Battle of Iuka）は、1862年9月19日にアメリカ南北戦争の初期段階で、ミシシッピ州イウカを舞台に行われた戦闘です。この戦いは、イウカ・コリンス方面作戦の重要な局面であり、北軍のウィリアム・ローズクランズ少将と南軍のスターリング・プライス少将が激突しました。北軍はプライス軍の進軍を阻止し、戦局に一定の影響を与えました。

戦いの背景

1862年9月、南軍のブラクストン・ブラッグ将軍がテネシー州からケンタッキー州へと進軍を開始したため、北軍のドン・カルロス・ビューエル少将は自身のオハイオ軍を率いてこれを追撃しました。南軍は、ビューエル軍がグラント少将のテネシー軍と合流するのを阻止する必要がありました。当時、グラント軍はコリンスの包囲戦以降、テネシー州西部とミシシッピ州北部で補給線を守っていました。

南軍のプライス少将は、9月13日に自身の西部軍をミシシッピ州テューペロから、コリンスの東約32キロメートルに位置するイウカに移しました。イウカは、北軍がメンフィス・アンド・チャールストン鉄道沿いに設けた最東端の補給基地でした。プライス軍は小さな北軍守備隊と小競り合いを起こし、9月14日には北軍の指揮官が補給所の物資を焼却し撤退しましたが、南軍は直ちに消火し、貴重な物資を確保しました。

プライス軍はイウカでアール・ヴァン・ドーン少将の西テネシー軍の到着を待機していました。両軍が合流後、グラント軍の補給線を攻撃することで、グラント軍がビューエル軍の救援に向かうのを阻止する、あるいはブラッグの北部侵攻を支援する計画を立てていました。

戦闘開始までの動き

グラントは南軍の攻撃を待たずに、ヴァン・ドーン軍が到着する前にプライス軍に攻撃を仕掛けることを決定しました。グラントはエドワード・オード少将の部隊をバーンズビルへ送り込み、ローズクランズ少将の部隊をイウカに南西から向かわせ、プライス軍の退路を断つ作戦を立てました。この作戦はローズクランズが立案し、彼はイウカの地形に詳しかったため、グラントはローズクランズに戦術的な指示をほとんど出しませんでした。

両軍の戦力

イウカにいた南軍プライス軍の総勢は約3,179名で構成されていました。

ルイス・ヘンリー・リトル准将の師団
フランク・C・アームストロング准将の騎兵旅団

一方、北軍ローズクランズ軍は約4,500名で、以下の編成でした。

デイビッド・S・スタンリー准将の師団
チャールズ・S・ハミルトン准将の師団
ジョン・K・マイズナー大佐の騎兵師団

オード軍はイウカの主戦場には参加しませんでした。

戦闘の経過

9月18日、オード軍がイウカに到着し、南軍の哨戒隊との間で小競り合いが発生しました。ローズクランズ軍は、ぬかるんだ道に苦戦し、さらに部隊の一部が道に迷うなどして到着が遅れました。オードは南軍に降伏を要求しましたが、プライスはこれを拒否しました。

9月19日早朝、ローズクランズ軍は進軍を開始しましたが、指示された道ではなく、ジャシント道路を通って進みました。グラントはローズクランズ軍の到着が遅れると判断し、オード軍に戦闘音が聞こえるまで攻撃を控えるように指示しました。

午後4時30分、ローズクランズ軍の先遣隊が、ミル道路でリトル師団に急襲され戦闘が開始されました。ハミルトン師団は有利な位置に部隊を配置し、砲兵隊も適切な場所に展開しました。ヘーベル旅団が北軍の砲兵隊に突撃を敢行しましたが、激しい一斉射撃を受け3度撃退されました。3度目の突撃で南軍は砲手を追い払い、大砲を奪取しましたが、馬がすべて殺されており、戦果を活かせませんでした。その後、スタンリー師団が戦闘に加わり、北軍は南軍の最後の攻撃を撃退しました。

イウカ方面に陣取るオード軍には、音響陰影により砲撃音が届かず、戦闘終了まで気づきませんでした。夜になり、両軍は翌日の戦闘に備えましたが、南軍は撤退を開始しました。スタンリー軍はこれを追撃しましたが、南軍は逃げ切りました。

戦闘の結果

北軍の損害は、戦死144名、負傷598名、捕虜または不明40名でした。南軍は戦死263名、負傷692名、捕虜または不明561名でした。南軍の将軍リトルは戦闘中に負傷しました。南軍が放棄した戦利品には、多数の火器、軍需物資、弾薬が含まれていました。

9月19日の戦闘後、プライスは翌日に再度北軍と戦うことを考えましたが、部下に説得されヴァン・ドーン軍と合流することにしました。ローズクランズ軍はイウカを占領しましたが、追撃は不成功に終わりました。グラントは追撃を打ち切ったローズクランズに不満を示しました。南軍はヴァン・ドーン軍と合流し、後の第二次コリンスの戦いに向かいました。

戦いの意義

イウカの戦いは、南北戦争における戦略的な重要地点を巡る激戦であり、北軍が南軍の進撃を一時的に阻止した点で重要な意味を持ちます。この戦いは、その後の戦局に大きな影響を与えることとなりました。

参考文献

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Ballard, Michael B., Civil War Mississippi: A Guide, University Press of Mississippi, 2000, ISBN 1578061962.
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