イオンエブリ

イオンエブリ株式会社：イオングループ傘下のスーパーマーケットチェーンの歴史

イオンエブリ株式会社は、かつて関東地方を中心にスーパーマーケット事業を展開していた企業です。その歴史は長く、1947年の水産食料品加工卸売業「株式会社枡新商店」創業にまで遡ります。当初は卸売に特化していましたが、1989年に社名を「シートゥーネットワーク株式会社」に変更し、1994年からスーパーマーケット「つるかめランド」を展開することで小売事業にも進出しました。

2000年には東証2部に上場し、2001年には東証1部へ指定替え。順調な成長を続ける中、2003年、イギリスのスーパーマーケット大手テスコによる買収を受け入れました。これにより社名は「テスコジャパン株式会社」となり、「つるかめ」ブランドに加え、「テスコ」ブランドの店舗も展開するようになりました。しかし、テスコは日本市場での大型店展開は行わず、首都圏の中小型店舗に留まりました。

テスコによる買収後も、「つるかめランド」ブランドは維持され続け、フレックやクリーンストアーといった他社スーパーマーケットの買収も実施するなど、事業拡大を図りました。しかし、日本市場におけるテスコの事業は低迷し、2011年にテスコは日本からの撤退を表明。この決定により、テスコジャパン株式会社の将来は不透明なものとなりました。

テスコの撤退表明後、2013年、イオンがテスコジャパン株式会社の株式の50％を1円で取得し、傘下に入れました。この買収には、テスコによる日本法人の負債肩代わりと事業再建のための追加投資が含まれていました。社名も「イオンエブリ株式会社」へと変更されました。

イオン傘下入り後、イオンエブリは積極的な店舗再編に着手しました。スクラップアンドビルドによる店舗閉鎖や、イオングループ他社への営業譲渡を断行。2014年3月31日までに、すべての直営店舗を閉鎖、またはマックスバリュ、アコレなどのイオングループ他社に譲渡しました。わずか1年あまりの間に、イオンエブリは企業としての姿を消しました。譲渡された店舗は、順次「マックスバリュ」や「アコレ」などの屋号に変更され、イオンエブリのブランドは完全に消滅しました。

イオンエブリは、卸売から小売への転換、そしてテスコ買収、イオンによる買収と、数々の変遷を経験した企業でした。「つるかめランド」ブランドは多くの顧客に親しまれていましたが、時代の流れと経営戦略の変化によって、その歴史に幕を閉じました。イオンエブリの軌跡は、日本のスーパーマーケット業界における企業買収や再編のダイナミズムを象徴する事例として記憶されています。

イオンエブリの店舗形態とブランド

イオンエブリは、様々な業態の店舗を展開していました。主力業態であった「つるかめランド」の他に、「ふーどれっとつるかめ」、「かめちゅーる」、「TSURUKAME」「TESCO」、「キッチンランド」といったブランドも存在していました。これらのブランドは、規模や品揃えなどが異なっていました。

「つるかめランド」は、生鮮食品から加工食品、日用品まで幅広く取り揃えた一般的なスーパーマーケットでした。一部店舗では外部業者に生鮮食品の販売を委託し、イオンエブリは加工食品、日配食品、日用品、酒類の販売とレジ業務を担当する形態をとっていました。多くの店舗でWAONなどの電子マネーが利用可能であり、イオン独自のセールなども実施していました。

「ふーどれっとつるかめ」は、加工食品と酒類のみを取り扱う小規模な店舗でした。「かめちゅーる」は、特定の地域にのみ存在した小型店舗でした。「TSURUKAME」と「TESCO」ブランドは、テスコ傘下時代に出店された店舗です。これらの店舗も、イオンエブリの営業終了に伴い、閉鎖または他のイオングループ企業へ譲渡されました。

イオンエブリの卸売部門である「C&C」も、2014年3月31日に営業を終了しました。これは、小売事業からの撤退に伴うものでした。

店舗網の整理とイオングループへの譲渡

イオンエブリは、イオン傘下入り後、積極的に店舗網の整理を行いました。2013年4月から2014年にかけて、多数の店舗が閉鎖またはイオングループの他社に譲渡されました。これにより、イオンエブリの直営店舗は完全に消滅しました。譲渡された店舗は、「マックスバリュエクスプレス」、「アコレ」、「まいばすけっと」、「イオンリカー」など、イオングループの様々な業態に転換されました。

イオンエブリの消滅は、スーパーマーケット業界における企業再編の激しい流れを象徴する出来事でした。しかし、その歴史は、日本の流通業界における変化と発展の一端を示す貴重な事例として、今後も記憶に残ることでしょう。

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