イオン橋本店

神奈川県相模原市緑区橋本にある「イオン橋本店」は、イオンリテールが運営する大型商業施設です。この施設は、JR横浜線・相模線、京王電鉄相模原線が乗り入れる橋本駅の北口エリアにおける再開発プロジェクトの一環として建設され、その中核を担う店舗として誕生しました。

商業施設としての歴史は、2000年（平成12年）3月4日に「橋本ビブレ」として幕を開けます。その後、運営会社のマイカルが経営危機に陥り、店舗ブランドを「橋本サティ」へと変更。さらにイオングループの総合スーパー（GMS）事業再編を経て、2011年（平成23年）3月1日からは現在の「イオン橋本店」として地域に親しまれています。

概要と立地

イオン橋本店が入居する建物は、「橋本駅北口第一再開発ビル」として再開発事業によって整備されたものです。橋本駅北口のバスロータリーに直接面しており、交通の要衝としての利便性を享受しています。特に2階の入口は、ペデストリアンデッキを通じて、隣接する再開発ビル「ミウィ橋本」や飲食店が集まる「味の食彩館はしもと」、JR橋本駅の改札階と直結しています。さらに、駅構内の連絡通路を利用すれば、橋本駅南口の駅前ロータリーや京王相模原線の改札、京王クラウン街橋本などへもスムーズに移動でき、広範囲からのアクセスが良いのが特徴です。

駅連絡通路内には、JRの駅ナカ商業施設や京王クラウン街などの店舗も並び、相乗効果を生んでいます。かつて小さな木造家屋や個人商店が並んでいた橋本駅周辺は、一連の再開発によってミウィ橋本（2001年開業）や、南口に開業したアリオ橋本（2010年開業）といった大型商業施設が集積し、街の景観が劇的に変化しました。

シティ・プラザはしもと

「橋本駅北口第一再開発ビル」の5階の一部および6階には、相模原市の公共施設「シティ・プラザはしもと」が入居しています。相模原市が政令指定都市に移行し緑区が発足した当初は、ここに緑区役所が置かれていました。緑区合同庁舎の完成・移転後も、市民サービス機能の一部が残り、5階には戸籍や住民票などの証明書を発行する緑区役所橋本駅連絡所が設置されています。また、6階には緑区役所市民相談室、橋本公民館、総合就職支援センター、相模原市男女共同参画推進センター「ソレイユさがみ」などが入居。2021年（令和3年）には、市内の消費生活関連機能を統合した消費生活総合センターも開設されています。これにより、イオン橋本店は商業機能だけでなく、地域の行政・市民サービス拠点としての役割も担っています。

商業施設としての歴史と変遷

幻のそごう出店計画

橋本駅北口の再開発計画が持ち上がった際、核店舗の誘致には複数の大手百貨店やGMSが名乗りを上げました。特に当時各地の駅前開発に積極的だったそごうや、沿線の京王百貨店、吉祥寺に店舗があった近鉄百貨店などが競合します。その中で、そごうは他の追随を許さない高額な賃料を提示し、1989年（平成元年）10月に出店権を獲得、「橋本そごう」として開業する予定でした。

しかし、そごうの経営状況が悪化し、1993年（平成5年）8月に出店計画を凍結。結局、1996年（平成8年）には正式に出店契約を解除し、橋本への出店を断念しました。そごうは、橋本ビブレが開業した直後の2000年7月に民事再生法を申請し、経営破綻しています。

マイカルの出店とブランド変遷

そごうが撤退したことにより、後継テナントとしてマイカルが出店を決定しました。当初のそごう計画よりは規模が縮小されたものの、「橋本駅北口第一再開発ビル」が建設され、核店舗として「橋本ビブレ」が2000年 3月4日にオープンしました。

開業後、マイカルもまたバブル崩壊などの影響で経営不振に陥ります。マイカルは若者向けの「ビブレ」とファミリー向けの「サティ」というブランドを展開していましたが、郊外店舗では顧客層の区別が曖昧になっていました。経営再建策として、ファミリー層が多い郊外のビブレをサティに転換する計画が立てられます。しかし、この計画進行中の2001年（平成13年）9月14日、マイカル自身も民事再生法を申請し経営破綻しました。

橋本ビブレは、マイカル破綻後ではありましたが、ビブレからサティへの転換第一号店となりました。業態転換に際して、2001年 10月20日をもって一時閉店し、「全館売りつくしセール」を実施。6日後の10月26日からは「橋本サティ」として新たなスタートを切りました。

イオンへの統一

2010年（平成22年）8月、イオングループはGMS事業の再編を発表。マイカルとイオンマルシェをイオンリテールに統合し、「サティ」と「ジャスコ」の店舗ブランドを「イオン」に統一する方針を打ち出しました。この方針に基づき、2011年（平成23年）3月1日、マイカルはイオンリテールに吸収合併され消滅。同日、全国のサティ店舗が一斉に「イオン」に店名を変更しました。これにより、橋本サティも「イオン橋本店」へと名称が変わります。この時の転換は、サティへの転換時のような一時閉店や大規模セールは行われず、営業を続けながら看板の架け替えなどの改装が進められました。

イオン橋本店として営業を開始して間もない2011年3月11日には東日本大震災が発生し、その後の営業にも影響が出ることとなりました。

フロア構成

イオン橋本店は、地下1階から地上6階までの構造を持ちます。建物の5階の一部と6階には、前述の相模原市の公共施設「シティ・プラザはしもと」が配置されています。商業施設としては、地下1階から5階までが利用されており、食品、ファッション、生活用品、専門店、飲食店などがフロアごとに展開しています。また、地下1階から地上5階までの各階が「橋本駅北口市営駐車場」に接続しており、車でのアクセスにも配慮されています。

6階: シティ・プラザはしもと（公民館、相談窓口、男女共同参画推進センター、消費生活総合センター、就職支援センターなど）
5階: スポーツ&カルチャー関連、飲食フロア。シティ・プラザはしもと（パスポートセンター、緑区役所橋本駅連絡所）、ダイソーなど。
4階: 住まいと暮らし関連、専門店フロア（ゲームコーナー、手芸店、クリニックなど）。
3階: ファッションフロア（婦人、紳士、子供服など）。
2階: 服飾雑貨、専門店、食品売場の一部、飲食店（カンテボーレ、スターバックスコーヒーなど）。ペデストリアンデッキで駅や周辺施設と接続。
1階: 主に食品売場、フードコート。橋本駅北口バス・タクシーロータリーに面するメインエントランスフロア。

イオン橋本店は、開業以来の変遷を経て、現在では商業機能と公共施設機能を併せ持つ、橋本駅周辺の重要な拠点の一つとなっています。

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