イギリス連邦占領軍

イギリス連邦占領軍（BCOF）の詳細解説

イギリス連邦占領軍（British Commonwealth Occupation Force, BCOF）は、第二次世界大戦後の1946年から1952年まで日本に駐留した、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス領インドといったイギリス連邦諸国の軍隊から構成される占領軍です。日本の敗戦後、連合国の一員として日本の占領任務を遂行しました。

歴史的背景

第二次世界大戦において、イギリスは戦勝国となりましたが、東南アジアの植民地を日本軍に占領され、本土も空襲で荒廃しました。そのため、終戦直後は日本占領のための十分な兵力を送ることができませんでした。しかし、日本の占領における利権を他国に奪われることを懸念したイギリスは、クレメント・アトリー首相の指示のもと、オーストラリア軍やニュージーランド軍、イギリス領インド軍を中心にBCOFを編成しました。

連合国間の取り決めにより、BCOFは連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）の指揮下で、主に中国・四国地方と首都圏の一部（東京都、神奈川県）の占領任務を担当することになりました。1946年2月に日本への進駐を開始し、アメリカ軍から中国・四国地方の占領任務を引き継ぎました。

司令部と構成

1945年11月には、東京都目黒区に英連邦軍東京分区本部が設置され、オーストラリア軍が中心となって駐留しました。その後、司令部は呉市の旧呉鎮守府司令長官官舎（現在の入船山記念館）に移転しました。空軍部隊は岩国基地や防府南基地などに駐屯地を設け、武器補給部隊は広島県海田市町の旧陸軍被服支廠倉庫に置かれました。

BCOFの構成は、イギリス軍、オーストラリア軍、ニュージーランド軍、イギリス領インド軍からなり、最盛期には約4万人の兵力が中国・四国地方、東京、横浜、横須賀、神戸などに駐留しました。これは、アメリカ占領軍に次ぐ規模でした。

任務

BCOFの主な任務は、中国・四国地方における旧日本軍の武装解除、廃棄兵器の処分、闇市の取り締まり、朝鮮人の不法入国取締りなどの治安維持でした。民間行政は日本政府とアメリカ軍が担当しました。また、首都圏では武装解除や戦争犯罪の捜査も行いました。

1946年末までに武装解除はほぼ完了し、その後は治安維持が中心となりました。しかし、日本の警察機構が機能したことや、イギリス本国の疲弊、植民地の独立運動激化などから、1946年末から部隊の移転が始まりました。1947年にはイギリス陸軍とイギリス領インド陸軍が帰国し、1948年にはニュージーランド陸軍が撤退し、規模は大幅に縮小しました。

朝鮮戦争と終結

1950年に朝鮮戦争が勃発すると、イギリス陸軍と海軍の大部隊が日本に戻り、BCOFの基地は朝鮮半島へ派遣されるイギリス連邦軍の後方支援基地となりました。1952年に日本国との平和条約が締結されると、BCOFは日本の占領任務を終え、部隊は帰国し、1955年に解散しました。

日本社会との交流

BCOFは占領期間中、日本の鉄道や航空インフラを利用し、兵站と連絡業務を拡充しました。また、カンタス航空や英国海外航空が岩国基地や防府南基地に定期便を就航させました。一方で、BCOFは人種差別の観点から、日本女性との交際を禁止し、違反者には厳しい処分が科されましたが、1952年の禁止令解除後には、多くの「戦争花嫁」がイギリス連邦諸国へ渡りました。

朝鮮戦争勃発後、BCOFは英連邦朝鮮派遣軍（BCFK）に改編され、引き続き日本に駐留し、音楽を通じた交流や運動会への参加などを通じて、市民との親善を深めました。

まとめ

イギリス連邦占領軍（BCOF）は、第二次世界大戦後の日本占領において、治安維持や武装解除などの重要な役割を果たしました。その活動は、日本の戦後復興と国際社会への復帰に貢献し、イギリス連邦諸国と日本との関係に深い影響を与えました。

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