イシドジョウ

イシドジョウ（石泥鰌）

イシドジョウ（石泥鰌、学名：Cobitis takatsuensis）は、コイ目ドジョウ科シマドジョウ属に属する日本の固有種の魚です。もともと島根県高津川で発見されたことからその名が付けられました。「イシ」という名前は、彼らが石の多い環境に生息することに由来しています。

分布

イシドジョウは主に島根県、広島県、山口県、福岡県といった地域に広がって生息しています。これらの地域の清らかな河川で主に見られます。

形態

イシドジョウは全長約5から7センチメートルに達し、最大で8センチメートル程度になります。彼らの外観は住んでいる河川によって異なる模様を持っており、特徴的な暗色線と眼の下に明瞭な暗色線があります。口ひげは3対あり、その中で第2の口ひげが特に長いのが特徴です。背鰭の分枝軟条は6本で、尾鰭には不規則な2から4列の横帯状の模様があります。尾鰭の付け根部分には明瞭な黒点があり、上下に分かれています。

生態

この魚は25℃以下の清らかな流れの中で生活することを好み、特に山間部の河川の上流や伏流水のある中流域に生息します。高温に対しても耐性があり、小規模な河川では下流域まで生息が可能です。食性は雑食性で、主に小型の水生昆虫や石の表面に生える藻類などを食べる習性があります。

繁殖期は6月から8月で、繁殖行動はあまり明らかではありませんが、礫底の中で産卵することが考えられています。卵の直径は約2.7ミリメートルと大きく、通常は少数の卵を抱えるため、孵化した仔魚はしばらくは礫底に留まって成長します。冬の季節になると、彼らは石の隙間に深く潜り込んで越冬しますが、九州地域では冬においても確認されることがあります。野外での寿命は約2年程度ですが、飼育下では3年以上の寿命を迎えることがあります。

保全状況評価

イシドジョウは環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧IB類（EN）に指定されています。これは主に流域の開発や淵の消失、礫底の目詰まりなどが要因で生息地が縮小しているためです。

人間との関係

2006年には、四国産のイシドジョウが新種「ヒナイシドジョウ」として認識されました。イシドジョウは警戒心が強く、見つけるためには静かに観察しなければならないことがあります。観賞魚として飼育されることもありますが、高温に弱いので、その点には十分な注意が必要です。

このように、イシドジョウは日本の水域に特有の非常に興味深い魚ですが、その生息環境は厳しい状況にあり、保護活動が求められています。

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