イジャスラフ1世

イジャスラフ1世：キエフ大公国の激動の時代を生きた統治者

イジャスラフ1世（1024年 - 1078年）は、11世紀のキエフ大公国の重要な統治者でした。彼の生涯は、兄弟間の権力闘争や外敵の侵入など、激動の時代を反映しています。

生涯

1024年、イジャスラフはキーウで生まれました。父はヤロスラフ1世、母はスウェーデン王オーロフの娘インゲゲルドです。1054年に父が亡くなると、彼はキエフ大公位を継承しました。長男はすでに亡くなっていたため、次男である彼が後を継いだのです。

大公位を継承したイジャスラフは、兄弟たちと領土を分割しました。彼はキーウに加え、ノヴゴロドとトゥーロフを獲得。スヴャトスラフ（後のスヴャトスラフ2世）はチェルニーゴフ、リャザン、ムーロム、トムタラカニを、フセヴォロド（後のフセヴォロド1世）はペレヤスラヴリ・ルースキー、ロストフ、スーズダリ、ベロオーゼロといったヴォルガ上流域の東北ロシアを領有しました。ヴャチェスラフはスモレンスク、末弟イーゴリはヴォルィーニを支配しました。

イジャスラフは大公として、スヴャトスラフ、フセヴォロドと三頭政治を行い、大公国を統治しました。しかし、1068年にはポロツク公フセスラフによってキーウを一時的に奪われ、大公位を失います。その後、1073年以降は2人の弟と不和になり、大公位はスヴャトスラフに移りました。スヴャトスラフの死後、フセヴォロドと和解し、3度目の大公位につきます。1078年、フセヴォロドと共同で、スヴャトスラフの子オレークと戦いますが、その戦いで命を落としました。

家族

イジャスラフは、ポーランド王ミェシュコ2世の娘ゲルトルダとの間に3人の息子をもうけました。ポロツク公ムスチスラフ、トゥーロフ公ヤロポルク、そして後にキエフ大公となるスヴャトポルク（スヴャトポルク2世）です。娘のエウプラクシアは、ポーランド王ボレスワフ2世の息子メチスワフに嫁ぎました。

イジャスラフ1世の治世は、内紛や外敵との戦いによって特徴づけられます。彼の生涯は、当時のキエフ大公国が直面していた困難な状況を物語っています。しかし、彼は大公として国を統治し、後世に影響を与える子孫を残しました。

参考文献
* 田中陽兒、倉持俊一、和田春樹（編）『世界歴史大系 ロシア史1』山川出版社 1995年

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